季節の変わり目や環境の変化で、心が揺らぎやすくなることは誰にでもあります。中高年になると、そこに加齢の影響も重なり、心の状態がさらに複雑になることも。今回は、そんな変化に戸惑った知人夫婦の実話をご紹介します。
異変の始まり
子どもたちが独立し、これからは夫婦ふたりの時間を楽しめる──そんな矢先の出来事でした。
夫の様子が、少しずつ変わり始めたのです。
以前は明るく社交的で、どこにいても輪の中心にいた夫が、急に無口になり、趣味のゴルフにも行かなくなりました。
些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなったりするのも気になりました。
最初は「仕事で疲れているのかな?」と思っていましたが、数週間経っても状況は改善せず、日常生活にも支障が出始めていました。
「きっと大丈夫」と思っていた
夫に何度も「どうしたの?」と声をかけましたが、返ってくるのは決まって『大丈夫だよ』のひと言だけ。
真面目で責任感の強い人なので、弱みを見せたくなかったのかもしれません。
私も、「本人がそう言うなら……」と無理に踏み込まずにいました。
そのうち時間が解決してくれると信じていたのです。