おさがりに大喜び
K子は3人目にして、初めて女の子を出産しました。
出産直後、K子の長男の同級生のママ友M美が、「うちの子のおさがりで良ければ着ない?」と連絡をくれました。
以前から、M美の娘さんが着ている服装を好ましく思っていたK子は、とても喜びました。
そして、もらった服は段ボールに7箱ほど。
「こんなにたくさん!?」と恐縮すると、「必要なものだけ選んで、いらなかったら捨ててね」とM美は笑顔で言いました。
大量すぎて恐縮
生後間もなくM美からもらったおさがりを娘に着せ、大量の服をひとつひとつ確認しながら整理しました。
中には落書きされたものや、もう着られそうもないものも入っていましたが、数年間は娘の服を買わずに済みそうです。K子は、お礼にM美へお菓子を贈りました。
「それってうちがあげたやつだよね?」
しばらくして、抱っこ紐の中に納まっていたK子の娘も1歳を過ぎ、外を自分の足で歩きたがるようになっていきます。
M美からのおさがりの洋服も頻繁に着せていました。
K子親子がM美にばったり会うと、そのたびに「あれっ、その服って、うちがあげたやつ?」と言われ、「そうそう、いただいた服だよ、ありがとう」という会話がまるであいさつのように。
しかし正直、あまりにも毎回言われるのが気になり始めたK子。
「似合うね」とか「可愛いね」とか、そういった会話になるわけではなく、M美はただ単に自分があげたものかどうか確認してくるだけなのです。
恩着せがましい態度に辟易
そのうち、他の人が大勢いる場所でも、「それってうちがあげた服だよね?」と言われるように。
恩着せがましさに辟易してきたK子は、M美に会う可能性のある日は意地でも娘におさがりを着せないようにしてみました。そして、その後も続く「これいらない?」も丁重にお断り。徐々に距離も置くようになりました。
おさがりをもらうのはとてもありがたいですが、恩着せがましく確認されると、ストレスになりますよね。
K子は「タダより高いものはない」を嫌というほど痛感したそうです。
【体験者:30代・パート、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:長橋知子
38歳で未経験からWEB広告制作の在宅ワークに挑戦し、セールスライター・WEBライターとして活動をスタート。読者に寄り添うライティングを大切にしている。特に、人間関係や育児、地域活動、女性の生き方に関するテーマが得意。また、noteで赤裸々エッセイを発信し、Kindle書籍も出版。「どんな自分でも生きていける」社会の実現を目指して奮闘中。