反抗期の子どもと向き合う時、こちらも感情的になってしまうことが多々あります。でも子どもたちも胸に秘めながら、一生懸命に色々なことを考えて過ごしているのです。今回は、筆者の知人Aさんが経験した子どもの反抗期エピソードをご紹介します。

反抗期の息子がいるAさん

Aさんの中学生の息子は反抗期で、日常はほとんど会話がない状態でした。それどころか、物を投げたり壊したりすることもあり、反抗期の中でもちょっと厄介だなとAさんは少し困っていました。
そしてつい先日、息子が投げたクッションが棚に当たり、その衝撃で棚の上に飾っていた写真立てが落ちてきて、割れてしまいました。その写真立ては、Aさんが結婚する時に祖母にプレゼントしてもらったもので、「大切な家族の写真を飾るといいよ」と言われていた、思い出深いものでした。
これにはAさんも怒りよりも悲しみの方が勝り、初めてに近いくらい、息子の前で思わず泣いてしまいました。

修学旅行に出かけた息子

その数日後、息子は修学旅行があったのですが、相変わらず何も話さずに、自分で準備をし、無言で出発していきました。何か忘れ物はないかと声をかけても、返事もしてくれませんでした。(まぁ、学校の先生もいる行事だし、そんなに心配しなくても大丈夫よね)と、Aさんなりに気持ちに折り合いをつけて反抗期に向き合っていました。
そして4日後に帰宅した息子は、もちろんお土産を買ったわけでもなく、土産話もありませんでした。

Aさんの元に届く宅配便

息子が修学旅行から帰ってきた翌日、Aさん宛てに宅配便が届きました。なんだろう? と思って開封すると、中には写真立てが入っていたのです!
送り先の住所を見ると、見知らぬ土地の名前でしたが、よくよく見ると息子の修学旅行先だと分かりました。それを見て、お土産を買っていてくれたんだとAさんは嬉しくなりました。

学校で聞いた、息子の真実

そして次の週、息子のクラス担任と個人面談があったため学校に行きました。その時、担任の先生から修学旅行の話を聞くことができました。
「修学旅行中に工芸品の体験をする場面があって、全員同じ製作を予定していたのですが、前日になって『どうしても写真立てを作りたいんです。お願いします。』って直に相談に来たんですよ。いつもそんな風に積極的に意見を出す子じゃなかったから、お願いされた時にはビックリしましたけど、実際に工房にも確認して写真立てを作らせてもらうって決まった時には、目を輝かせて一生懸命に作っていて。他の子よりも時間はかかっていましたが、その姿は頼もしいとすら感じましたよ。」と教えてもらいました。

それを聞いたAさんは涙が止まらなくなってしまい、先生にも家での様子や写真立てを壊してしまったことを話しました。個人面談が終わり家に帰ると、息子はもう帰宅していました。息子の部屋のドアをノックして、「写真立て、届いたよ。ありがとう。大事にするね」と伝え、ドアの前を去ろうとすると、「….…ごめん」と一言だけ返ってきたのでした。
写真立ては2枚の写真が入れられたので、Aさんは祖母との写真を1枚、息子と夫との家族写真を1枚入れて、飾ったのでした。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:南さおり
読者モデルを経て、ライターに転身。仕事柄、美容や装いにこだわる女性たちの心理やリアルに興味を持ち、取材。結婚・出産を機に現在は、育児をしながら、女性としての美や健康も両立する女性を主な取材対象に、いつまでもきれいで美しい人生を送るための秘訣をリサーチし発信する女性向けコラムニスト。女性の人間関係に注目した記事も人気。