楽しい外食
先日、家族で近所の回転寿司チェーン店に行った時のことです。
子どもたちは大好きなマグロやサーモンを美味しそうに頬張り、私と夫も久しぶりの外食にワクワクしながら食事していました。
店内も賑やかで、まさに「家族団らん」という雰囲気でした。
非常識すぎる男性に遭遇
そんな中、近くに座った中年の男性客の行動が、あまりにも非常識で唖然としてしまいました。
彼はレーンからお寿司を一皿取って、一口だけ食べ、眉をひそめて「んー、これマズいな……」と呟きながら、その食べかけの寿司を、なんと元のレーンに戻したのです!
最初は「見間違い?」と思いましたが、その後も同じことの繰り返し。
「取る → 一口食べる → 文句を言う → 戻す」
という、信じられないような行動を堂々と行っていました。
店員の注意にも動じず
さすがに誰かが店員さんに伝えたようで、注意しに来てくれたのですが……
「まずいもん出すほうが悪い! 厨房の前を通るんだから、その時に回収しとけばいいだろ。大人なんだから、もうちょっと考えて動けよ!」
男性は逆ギレ気味に声を荒げ、周囲は一気に静まり返りました。
子どもたちも箸を止めてしまい、私たち家族もどうすることもできず、ただただ気まずい空気が流れていました。
救ってくれたのは、ひとりの小さな男の子
その時でした。
隣のテーブルにいた小学校低学年くらいの男の子が、すっと立ち上がり、こう言ったのです。
「食べ物を粗末にする人のほうが、大人じゃないと思います」
誰かに言わされた様子もなく、まっすぐな目でその男性を見つめる姿に、店内は静まり返りました。
男性は一瞬たじろぎ、目を泳がせながら「……うるせぇな」とつぶやいて、そそくさと会計を済ませて店を出ていきました。
騒ぎを静かに収めたその男の子は、その後も何事もなかったかのように寿司を食べ続けていましたが、周りの人たちはきっとみんな心の中で彼に拍手を送っていたと思います。
私も思わず、心の中でガッツポーズを決めていました。
非常識な行動に対して、大人たちが言葉を失っていた中、小さな子どものまっすぐなひと言が場の空気を変えた瞬間でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。