しかし、女性は私の言葉を遮り、「でも、もしかしたら脳腫瘍かもしれないんです! インターネットで調べたら、同じような症状が出てたから」とまくし立て始めました。
病院受診をお勧めするも……
私は「深刻な病気の可能性も否定できませんので、不安な症状があればまずは病院で診察を受けることをお勧めします」と丁寧に伝えましたが、女性は納得しません。
忙しいのか、「でも病院に行く時間がないんです。何か良い薬はありませんか? 市販薬じゃなくてもいいので処方してください!」と私に詰め寄ってきました。
私は医療用の医薬品は医師の診断なしに処方できないことを説明し、改めて病院受診を勧めました。
薬剤師の限界と責任
しかし、女性は納得せず……。
「薬剤師は症状から薬を選ぶのが仕事でしょ? せっかく相談しに来たのに!」と怒って帰ってしまいました。
私はため息をつきました。薬剤師は薬の専門家ではありますが、医師ではありません。
診断行為も、医療用医薬品を勝手に処方することもできません。女性の不安な気持ちは理解できますが、専門外の領域に踏み込んではいけないのです。
どんな職業にも、それぞれ大変なことはありますよね。それでも自分の出来る範囲で最善を尽くすしかない、と、改めて思った出来事でした。
【体験者:30代・女性薬剤師、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。