甘い蜜の味
夫とは結婚20年目を迎え、息子たちも無事に18歳と20歳になり、何不自由ない生活を送っていました。
一見、幸せな家庭に見えるかもしれません。しかし、実は私は5年前から職場の同僚、和也(仮名)と不倫関係にありました。
夫は大人しい性格で、私の不倫に気づいても何も言わないだろうとタカをくくっていたのです。
和也と過ごす時間は増え、そのぶん夫との会話は減っていきました。
罪悪感よりも刺激を求めて
和也との時間は刺激的でした。
自分より10歳も年下の和也に執心して、「きっといつか彼は私と結婚してくれる」という愚かな期待まで抱いていたのだから笑ってしまいます。
夫への罪悪感は薄れ、家族との時間も疎かになっていきました。
息子たちとの会話も減り、家族の繋がりが希薄になっていくのを感じながらも、私は見て見ぬふりを続けました。
突然の離婚宣告
その日は突然やってきました。何の前触れもなく、夫から離婚を切り出されたのです。
「僕を見くびるのもいいかげんにしろ。君が男と遊び呆けている間、僕はこの家を支えてきたんだ。息子たちも君を軽蔑している。こんな母親の姿は見たくないと言っていたよ。出て行ってくれ!」と冷たく言い放つ夫……。
私は驚き、そして初めて自分の愚かさに気づきました。
しかし、家族を失う恐怖に襲われながら、それでもこの時はまだ「私には和也がいる、和也が助けてくれる」と信じていました。
押し寄せる現実
ところが和也に事情を話すと、「え、うそでしょ。智子さんは10歳も年上だし、悪いけど結婚なんて考えられない。それに俺、本命の彼女いるし」と冷たく突き放されました。
甘い言葉は全て嘘だったのです。
「彼女がいるなら、どうして私と?!」と問いただすと、「そっちだって家庭があるじゃん」と返され、何も言い返せず……。
息子たちからも「お母さん、最低だね」と軽蔑の眼差しを向けられ、私の心は深く傷つきました。
不倫という甘い蜜に溺れ、私は大切なものを全て失ってしまったのです。
後悔しても、もう遅すぎます。
失ったものの大きさを噛み締め、虚しさを抱えながら生きる毎日です。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。