大切にしていた制服
Yさんの長女は当時中学校を卒業したばかり。長女は3年間大切に着ていた中学校の制服を置いておきたいと言っていました。
「もう着る機会もないけど、しばらく置いておこうか。必要な人がいたら譲ってあげてもいいしね」
親子で相談をして、制服はそのまま置いておくことに。
するとまもなく、長女と小学校から仲良くしていた男の子のママから「下の妹が中学に入学するから、制服を譲って!」と頼まれたのです。
確かに制服は結構なお値段がしますし、Yさんの長女も制服が汚れたりした時のために、予備の制服を近所の人からおさがりで貰ったことがあります。
しかし、どうやらそのママ友は経済的な余裕がないため新しい制服を購入することなく、おさがりだけで間に合わせたいようでした。
制服を譲ったら、まさかの展開に
「やっぱりきれいな制服がいいだろうし…… 譲ってあげてもいいよ」
仲良くしていた友達の妹のためでもあるので、Yさんの長女は大切にしていた自分の制服とおさがりでもらった制服の両方を譲ると言いました。
「ありがとう! 本当に助かるわ」
Yさんが制服を渡すと、ママ友は喜んで帰っていきました。
その数日後、Yさんの家に制服を譲ったママ友とは別のママ友が訪ねてきました。
「あら、どうしたの?」
そのママ友が家に来るのは初めてだったので、Yさんは不思議に思って尋ねました。
「〇〇さん(Yさんが制服を譲ったママ友)から3万円で制服を譲ってもらったんだけど、ポケットに娘さんのハンカチが入っていたのよ。だから返そうと思って」
そのママ友が差し出したのは、娘のフルネームをローマ字でYさんが刺繍したハンカチでした。
「さ、3万円!?」
例のママ友はタダでYさんから制服を貰って、他のママ友に3万円で売っていたのです!
その事実にYさんはショックを受けてしまいました。
好意や娘の3年間の思い出を踏みにじられたような気がして、Yさんはその後そのママ友とは距離を置いたそうです。
譲ったものをどうしようが勝手といえばそうなのですが、思い出の詰まった制服をお金儲けに使われるのは心外ですね。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2024年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。