カフェ開業に向けて
私は夢だったカフェを開業するため、コツコツと資金を貯めていました。実業家として成功していた知人のCさんから投資話を持ちかけられたのは、そんなある日のことです。
「絶対に損はさせない」というCさんの言葉を信じ、私は資金のほとんどを投資することにしました。成功すれば、カフェ開業ももっと早く実現できる! と信じていたのです。
しかし、そんなに上手くいくはずはありません。Cさんは投資に失敗し、私のお金も戻ってきませんでした。
裏切られたショックと、資金を失った絶望で、私は家に閉じこもるようになってしまいました。
声をかけてくれたのは
そんな私を心配して、毎日様子を見に来てくれたのが親友のB子です。B子は私が気晴らしに焼いていたお菓子を気に入り、「美味しい! 才能あるよ!」と褒めてくれました。最初は「きっとお世辞で言ってくれてるんだ」と思っていたのですが……
B子は私の焼き菓子の写真をSNSに投稿し始め、近所のマルシェへの出店まで手配してくれたのです。
「A子のお菓子は人を幸せにする力がある!」とB子は言い切りました。その熱意と行動力に、私は少しずつ前向きになっていきました。
新たな生き甲斐
B子は私にはない大胆な経営戦略を次々と提案してくれました。B子の「A子ならできる!」という言葉を糧に、私はお菓子作りに情熱を燃やし始めました。
マルシェ出店当日、私の店は予想以上の大盛況! B子の宣伝のおかげで、注文も殺到するようになったのです。
やがて私は本格的に焼き菓子の製造販売をスタート。B子は経営のパートナーとして、私を支えてくれました。
夢を叶える日まで
ある時、驚きのニュースが飛び込んできました。なんとCさんが別の事業で起こした不正取引によって、逮捕されたのです。
Cさん名義の会社は倒産し、会社の売却資産は被害者への弁済に充てられることになりました。
そしてその中には、私のお金も含まれていたのです! 思わぬ形で、失ったと思っていた資金の大半が戻ってきました。
今は、カフェ開業を夢見て、B子とともに頑張っています。あの時、絶望の淵にいた私を救い上げてくれたB子には感謝しかありません。
いつかB子と一緒にお店に立ち、美味しいコーヒーと焼き菓子を提供するのが、今の私の夢です。
【体験者:20代・女性、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。