ドイツの街角で感じた違和感
私は日本人、夫はアメリカ人。そして今はドイツで子育てをしています。
待望のわが子は、私や夫、祖父母から「かわいいかわいい」と言われ、愛情いっぱいに育っています。
しかし、ドイツの街で幼いわが子を連れて歩いていても、周りの人から「かわいい」と言われることはありません。天気の話をするように「お子さん何歳? かわいいわね」くらいの会話があってもいいはずなのに、ずっと不思議に思っていました。
日本帰国で浮き彫りになった「かわいい」の差
子どもが2歳のとき、日本に一時帰国しました。
すると驚いたことに、街行く人がわが子を見ては「かわいい!」と声をかけてくれるのです。友人たちと集まっても、「かわいいねぇ」と言ってくれます。私はうれしくなりました。
一方で、「ドイツでは誰もかわいいって言ってくれなかったなぁ」と改めて思いました。
アメリカ人夫が明かした真実
この疑問をアメリカ人の夫に話すと、彼は興味深い説明をしてくれました。
「容姿に関することは、たとえポジティブなことでも言わないんだよ」と。
このひと言で、私の目から鱗が落ちました。日本では「かわいい」は純粋な褒め言葉で、子どもがそう言われて不快に思う親はほとんどいないでしょう。
しかし夫いわく、海外では「かわいい」は見た目や容姿に関することなので、むしろ言わないのが礼儀正しいとされているんだとか。
文化の違いを実感
この経験を通じて、私は文化の違いを強く実感しました。同じ言葉でも、その受け取り方や使い方が国によってこんなにも違うのかと驚きました。
しかし、生まれも育ちも日本人の私には、やはり「かわいい」と子どもに言われることは素直にうれしいもの。日本でたらふく「かわいい」を充電し、ドイツに戻ったのでした。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。