飲食店経営
私は学生時代に調理師免許を取得し、数年間は雇われの身で修業を重ね、自分のお店を開きました。経営者になってからも現場に出て、調理や接客を積極的におこなっています。
自分のお店に身内や友人が足を運んでくれることも多々。
そんなときは経営者ならではの特権を利用し、破格の割引をしたり、ときには飲食代をいただかず帰ってもらったりするなど、せっかく来てくれた知り合いにはサービスするようにしています。
知り合いの来店
この日は、以前仕事で知り合ったA子が私の経営するお店に食事をしに来てくれました。
A子がわざわざお店に足を運んでくれたことや、久しぶりの再会が嬉しかった私は会計時A子に、いつも知り合いが来たときと同じように「今日は代金いらないよ!」と伝えることに。
A子は私の言葉に「いやいや! ダメでしょ! 正規料金受け取ってください。」と言ってきたのですが、『遠慮』の文化だろうと思った私は「本当にいらないよ!」と善意全開の笑顔で伝えました。
ハッとする言葉
しかしA子は「いや、今後来づらくなるから払わせて。」と言ったのです!
私はA子の来づらくなるという言葉にハッとさせられました。
これまで私は喜んでもらえると思い、過剰なサービスをおこなってきましたが、受け取り手の気持ちを初めて考えたのです。
たしかにあまりにも行き過ぎたサービスを受けると、お店を利用しづらくなるだろうし、人によってはお店選びの段階で候補から外してしまうかもしれない……。
自分の自己満足に過ぎない、相手に気を遣わせる行為だったと反省し、それ以降は知り合いが来たときもドリンクやデザートのサービス程度に留めて接客することにしています。
【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。