喜びと不安が交錯する出産! 赤ちゃんとの別れ
私が出産したときの話です。待望の妊娠が判明したものの、お腹の赤ちゃんには病気がありました。
そして出産を終えたものの、赤ちゃんはそのままNICUへ。出産を終えた直後の私は、赤ちゃんと落ち着いて対面することなく離れ離れになりました。
大部屋の孤独。聞こえてくる赤ちゃんの泣き声
出産を終え落ち着いたころに、大部屋に戻りました。同室のお母さんたちはベッドのカーテンを閉めていましたが、隣には赤ちゃんがいる様子がわかります。「ふぎゃふぎゃ」と頼りない赤ちゃんの泣き声が聞こえてきたからです。
私も赤ちゃんを産んだのに、一緒にいられないなんて……。悲しい気持ちを抱えたまま、ひとりで一定時間ごとに搾乳をしていました。夜も胸が張って辛いので、タイマーを付けて搾乳をし、それをナースコールで看護師さんに渡します。看護師さんは、その母乳を赤ちゃんに届けてくれるのです。
想像していた産後とは、私の場合、まったく違っていました。
母の愛! 娘を思う言葉が心の支えに
産後の入院中は辛くて辛くてたまらない日々でした。そんなとき、母は毎日病院を訪ねてくれました。辛く悲しい、惨めな私の思いを、母はうんうんと聞いてくれたのです。話し相手になってくれ、どれだけ助けられたことか。
そして母には、赤ちゃんと面会もしてほしいと思っていました。でも、NICUの規定で祖父母は面会ができませんでした。「赤ちゃん見せられなくてごめんね」と言うと、
母は、「赤ちゃんも大切だけど、今大切なのは私の娘だよ。お母さんは、あなたに会いに来てるんだからね」と言ってくれたのです。
本当に辛く苦しい入院生活でしたが、母の言葉で私は救われました。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。