「恋人がサンタクロース」という歌が流行りましたが、愛する人のために起こす行動や、想いそのものこそが、サンタさんという概念なのかもしれません。今回は友人のA子が、クリスマスの家族感動秘話を聞かせてくれました。
クリスマス好きな我が家
私は、夫と高校生の娘と暮らす専業主婦です。
我が家では、クリスマスは毎年必ず家族で過ごし、夫がサンタクロースに扮して娘にプレゼントを渡すのがお決まりです。
これは娘が幼いころからの習慣で、このサンタさんは本物ではなく、お父さんなのだと気づいてからも、変わらず喜んでくれています。
「お母さん! 今年のクリスマスなんだけどね……」
ある日、いたずらっぽい笑顔を浮かべて私に話しかけてきた娘。
てっきりプレゼントのリクエストなのかと思ったのですが、それは、とても素敵なサプライズの提案でした。
「それ、いいね! サンタさん、絶対に喜ぶね」
今年も娘のために、、、あれっ?
さて、迎えたクリスマス当日の夜。
ディナーの最中、いつものように夫が私に目配せをし、そそくさと部屋を出ました。
これからサンタの服に着替えて、娘と私へのクリスマスプレゼントを手に登場するわけです。
私と娘は、顔を合わせて笑いました。
「メリークリスマース! ……って、あれ? いない?」
いつも通り、朗らかにリビングのドアを開けた夫ですが、部屋は真っ暗で、私たちの姿が見えません。