貸したお金をランチ代で清算
ある日のこと、Jは友人Kと一緒に買い物に行きました。そこでKは思った以上に買い物をしてしまい、Jに2千円を借りることに。Kは「次のランチを私が奢るから、それでチャラにしようよ!」と笑顔で提案し、Jも「それならいいか」と気軽に承諾しました。普段から親しい友人だったため、Jは特に気にすることもなく、次のランチで精算できると思っていたのです。
後日、JとKはランチに行くことに。Kが選んだのは中華系のファミレスでした。「あ!料理を選ぶのは私に任せて!」と、素早くテーブルのメニューを取り上げるK。メニューを見たかったのに……と思いつつ、「ご馳走になるんだから、ここはKにお任せするか」と、Jは素直にランチを楽しむことにしました。
予想外の金額に唖然
ランチも終わり、いよいよお会計の時間。Kが満面の笑みで「じゃ、約束通り私が奢るね!」と伝票をつかみ、颯爽とレジへ向かいました。しかし、そのランチ代は1人1500円、2人合わせて3千円でした。
「あ、あれ? なんかおかしくない?」
2千円を立て替えたはずなのに……。Jは心の中で少し引っかかるものを感じました。「このランチは2千円の立て替えの代わりじゃなかったの?」と。
しかしJはその場で言い出すことができず、Kに「ごちそうさま……」と言うのがやっとでした。2千円を立て替えたはずなのに、今のランチ代との差額がどう考えても納得できなかったのです。
金銭感覚の違いから見えた人間性
その後、Jはどうしても気持ちがスッキリしなかったので、Kにさりげなく「立て替えた2千円ってさ、今回のランチで精算するって話だったよね? 金額おかしくない?」と聞いてみることに。
するとKは「そうだけど、なんで? 美味しかったんだから別によくない? それくらい気にしないでよ」と、軽く返したのです。
その返事を聞いたJは驚き、しばらく言葉が出ませんでした。
Jは、自分とKの金銭感覚とお金を借りるということの重さに対する意識の違いをひしひしと感じてしまったからです。
「金の切れ目が縁の切れ目」ではありませんが、信頼にも関わる価値観に違いがここまであると一緒にいるのが苦しいということを学んだJ。それ以来、Kとは距離を置くようになったそうです。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:N.tamayura
長年勤めたブラック企業を退職し、書くことを仕事にするためライターに転職。在職中に人間関係の脆さを感じた経験から、同世代に向けて生き方のヒントになるような情報を発信すべく、日々リサーチを続けている。