お客様からクレームが入ったら、当人が謝罪をするのはもちろんのこと、上司が責任を持って対処するのは会社においてよくあることです。今回はお客様からのクレームがきっかけで上司への信頼感を失ってしまった経験のある筆者の知人、Hさんのお話です。
お客様からの大クレーム
当時Hさんは衣料品量販店でパート勤務をしていました。
人気のあるお店なので毎日忙しく働いていましたが、ある日取り置き商品の連絡ミスで、お客様から大クレームの電話がかかってきました。
「大変申し訳ございません……」
Hさんは慌てて取り置きの伝票を調べ、自分のミスではなかったけれど精一杯誠意のある対応をしました。
「あなたに謝ってもらっても仕方ないわ! 上司を出しなさいよ!!」
大事にならないようHさんがなんとかなだめようとしたものの、お客様は「上司を出せ」の一点張り。
Hさんは店内放送で店長を呼び出しました。
上司が電話に出たけれど……
「わかった、代わるからHさんは店頭に出て」
店長がそう言ってくれたのでHさんはその場を離れ、店頭に出ようとしました。
「あ、メモ帳忘れちゃった」
Hさんは忘れ物に気づいて店長が電話をしているスタッフルームに戻ると、店長が話している声が聞こえました。
「この度は申し訳ございませんでした。先ほどのスタッフは普段から接客態度の悪いスタッフなので……」
「え?」
店長の発言にHさんは耳を疑いました。しかしまだHさんが戻って来たことに気づいていない店長はさらに続けます。
「え? いえいえ、僕の指導が悪かったわけではありません。すべて先ほどのスタッフのミスで」