A子もまさにそんな新妻の1人でした。
今回はA子から聞いたお話をご紹介します。
結婚を前に料理教室へ通う日々
結婚前から料理に少し苦手意識があったA子は、結婚後の生活を見据え料理教室に通い始めました。
「夫に美味しい料理を食べてもらいたい」という気持ちがモチベーションだったのです。
夫もまた、「A子の料理が好きだ」と彼女の努力を応援していました。
その言葉を胸に、A子は腕を磨き、新婚生活に向けて準備を整えました。
連日届く姑の絶品料理に揺れる心
結婚後しばらくして、姑が訪問時に手作りのおかずを数品持参。
「良かったら、食べてね」と笑顔で渡してくれました。
煮物、揚げ物、酢の物……。
すべてがプロ並の味付けで、A子は素直に「美味しい!」と喜びました。
すると翌日から、姑の手料理が連日届くように。
煮物だけではなく肉料理まで、毎日冷蔵庫にあふれるほどのおかずが届く日々。
最初は感謝していたA子でしたが、次第に「自分の料理を夫に食べてもらえない」寂しさを感じるようになったのです。
また、姑の料理が絶品すぎるため、自分の努力が霞んでしまうような気持ちになり、どこか落ち着かない日々が続きました。
夫への相談と変化の兆し
ある日、A子は思い切って夫に相談しました。
「お義母さんの料理はとても助かるし感謝している。でもまだ新婚だし私もあなたに自分の料理を食べてもらいたいの」と。
これを聞いた夫は、驚いた表情を見せました。
A子が喜んでいるとばかり思っていたのですが、実はそれは誤解でした。
そこで夫は、A子の気持ちを大切にしながら、やんわりと姑に伝えることに。
「おかずを作ってくれるのはありがたいよ。でも、A子も頑張っているから、できるだけ彼女の料理を優先して食べたい。必要なときはお願いするね」
と、優しい言葉で伝えたのです。
気持ちを通わせた結果、家族の絆が深まる
姑は息子夫婦に負担をかけるつもりはなく、純粋な善意で行動していました。
それだけに、今回の出来事は自分の行動を見直す良いきっかけになった様子。
それ以降、姑は頼まれたときだけ料理を届けるようになり、A子も自分の料理を食べてもらえる喜びを取り戻しました。
おかげで、家庭の雰囲気はとても良好に。
「姑に頼るのも大事だけど、夫婦のペースも守りたい」そんなA子の気持ちには、新婚ならではの愛情と葛藤が垣間見えますね。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。