ライブ終わりのタクシーは長蛇の列
娘には大好きなK-POPアイドルがいました。初めて友達と2人でライブに行くことになり、電車とバスを乗り継ぎ、無事会場に到着。
楽しかったライブが終わり、帰路につくためにバスの時間を調べると、駅までのバスはもうない時間でタクシーで帰るしかありませんでした。
ですが、すごい人数の人がタクシーを利用するため、タクシー乗り場は長蛇の列。
仕方なく少しずつしか進まないタクシー待ちの列に並びながら、順番を待つしかありませんでした。
家からライブ会場までは遠く、田舎から出向いていたため、早く帰らないと地元の電車の終電に間に合いません。
時計を見ながら、なかなか進まないタクシーの順番待ちに娘たちは、「間に合うかな?」とハラハラ、ドキドキしていました。
終電に間に合うかドキドキ
長時間並んで待って、ようやく娘たちの順番が近づいてきた時のことです。
娘たちの前に並んでいた40代くらいの2人組の女性が「どこまで行くの? 急いでるんでしょ?」「駅までなら一緒に乗らない?」と声をかけてくれました。
見ず知らずの人だったので、一瞬意味が分からず戸惑いましたが、次のタクシーもなかなか来ない状況だったので、ありがたく相乗りさせてもらうことにしました。
同じライブに参加していたファン同士ということもあり、タクシーの中ではライブの話で盛り上がり、あっという間に駅に到着しました。
心優しい救世主出現!
タクシーを降りる際に、料金の半分を支払おうとしたら、どうせ元々2人で乗ろうとしていて4人で乗っても同じ金額だから、とタクシー代を受け取ってくれなかったのです。
相乗りさせてもらったうえに、タクシー代を払わないなんて申し訳なく、「いえいえそんなの悪いです」とタクシー代を手渡そうとしたら、「そのお金は他のことに使って」「若い子とお喋りできて楽しかった」「気を付けて帰ってね」と言ってくれました。
娘たちはあっけにとられていましたが、女性の笑顔と優しい気持ちが嬉しくて、素直に厚意に甘え「ありがとうございました」とお礼を言って女性たちと別れました。
優しい心遣いだけでなく、最後まで気遣いに溢れた本当に素敵な人たちでした。
もし、自分も同じような状況に立ち会うことがあれば、こんな振る舞いができる人になりたいと思える素敵な出会いでした。
娘からこの話を聞いた時は、感謝の気持ちでいっぱいで本当に心が温まりました。
【体験者:10代・高校生、回答時期:2024年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kumi.M
保育士歴25年。ママたちの修羅場、バトルを多数目撃し、その経験を元にコラムニスト活動をスタート。アラフィフ主婦となった現在は、ママ友・育児・嫁姑問題などを、幅広い人脈を駆使してインタビューを行い、執筆する。