混みあったスーパーは大人でも憂鬱なものです。幼い子どもを連れていれば尚更ですよね。子どもにぐずられ、買いたい物も買えずに帰宅することになった経験がある人も多いのではないでしょうか。今回は子育て中の友人A子が体験したエピソードをお届けします。

ぐずる息子とスーパーへ

先日、私は保育園に息子を迎えに行ったあと、スーパーに寄りました。普段はまっすぐ帰宅するのですが、その日はどうしても翌日の朝食用のパンとバナナを買わないといけなかったのです。あいにく夫は出張中で、頼れる人もいませんでした。

案の定、スーパーの入口に着いた途端、保育園で疲れている息子は大爆発。「イヤ! 帰る!」と泣き叫び始めました。
周囲の視線も気になるし、買い物するのは無理かも……どうしよう、と絶望していると、「A子さん、何買うの?!」と声を掛けられました。

ヒーロー現る!

聞き覚えのある声に顔を上げると、保育園で同じクラスのBさんというママと、大人しくカートに乗っているBさんの息子がいました。

一目で私の状況を察してくれたBさんは、「遠慮しなくていいから言って! 何を買おうと思ってたの?」と急かします。
半泣きになりながら私が「しょ、食パンとバナナを……」と絞り出すと、「オッケー! そこらへんで待ってて!」と、まるでヒーローのように颯爽とスーパーの中へ消えていきました。

本当にありがとう(涙)

私は息子を連れてスーパーの外へ。通りを走る車やバスを見せて気を紛らわせると、ようやく息子も少し落ち着きを取り戻しました。

そこへ、Bさんが買い物袋を提げて戻ってきて、私に食パンとバナナを手渡してくれました。
「ありがとう、本当にありがとう!」と心から感謝しつつ、「Bさんの息子くんはすごいね、そんなに大人しくて……」と、つい羨望を口にすると、Bさんは「うちだってどうしようもなくぐずってる時もあるよ! 子どもってそういうもんだよね。もし今度うちが困った時にはお願いね(笑)」と、私の気持ちを軽くしてくれるように笑いました。

神対応に感謝

そして、「代金はPayPayで送金してくれてもいいし、明日以降でもいいから早く帰ってあげて!」と背中を押してくれたのです。スマートすぎる神対応に、感謝してもしきれませんでした。

今回の出来事は、私にとって忘れられない経験となりました。子育て中の大変さは、みんな同じ。だからこそ、困っている人がいたら「お互い様」の気持ちで手を差し伸べて、助け合える関係がどれほど大切かを実感しました。

私もBさんのように、誰かの力になれるような人になりたい! と思い、それ以来自分に余裕がある時には周囲のことをよく気をつけるようにしています。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2024年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。