上司に頼まれた残業
数年前、私はギフトを扱うネットショップでパートをしていました。
ある日、上司のA子から「少し残業お願いしてもいい?」と頼まれたので了承した私。すると「私は用事があって帰らなきゃいけないから、この商品をこの日時で発送してもらえる? よろしくね」と言ってA子はその場から消えていったのです。
人に残業を頼んでおきながら偉そうな口ぶりに、少しイラっとした私でしたが、A子の言う通りに発送の手配を済ませ、会社を後にしました。
社長から全社員呼び出し
その一週間後のことです。全社員が社長に呼び出されました。
「昨夜、うちのサイトにこんな口コミがあった」
その内容は「大切な人への誕生日プレゼントだったのに商品が届かなかった。ここは約束を守らない最低なショップだ」という怒りに溢れたものでした。そしてそれを書き込んだのは、私が残業した時に商品を発送したお客様だったのです。
私はA子に指示された通りの日時で指定をつけました。でも、実はA子が指示してきた日時そのものが誤っていたのです。
責任逃れする上司
「この商品を発送したのは君だね。どうしてこんなミスをしたのかな?」
「すみません。ただ私は……」
私が話を続けようとした瞬間、A子が物凄い速さで割り込んできました。
「なんで私が言った通りにしなかったの? 完全にあなたのミスよ。うちの信用を下げるようなことして、どうしてくれるのよ!」
自分の指示ミスにも関わらず、私を叱咤してくるA子。自分のせいではないと言いたいのか、他の社員たちの前で大声で叱り続けます。
「とにかくあなたの責任よ。お客様に謝罪の電話をしなさい」
A子に圧倒された私は、どうすることもできず震えながら受話器を手に取りました。
謝罪するのは君じゃない
その時でした。
「君はA子さんの言った通りにやっただけでしょ? 俺は二人の会話を聞いていたよ」
残業の時にたまたま居合わせていたB男が、私をかばってくれたのです。
「部下に自分のミスを擦り付けるのって完全なパワハラですよ。社長もそう思いませんか?」
「そうだな……それが本当なら今回はA子さんの責任だ。君が謝罪の電話を掛けなさい」
社長にこう言われたA子は、しぶしぶ電話を掛けることに。そしてお客様から「もうお宅では買わない!」などとこっぴどく叱られたそうです。自分の責任だと認めたくなかったのでしょうが、もうA子のようなズルい上司とは絶対に関わりたくないと心から思った出来事でした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。