親のおかげ
夫の口癖は、「大学を出て、一部上場企業に就職ができたのは両親のおかげ」でした。
親のおかげなのだからと、外食しようと言われれば費用はもちろん夫持ち。
テレビが壊れたと言えば大型テレビ、寒くなったと言えばこたつにファンヒーターと、言われるがまま購入する夫。
それでも、一人っ子だから仕方ないのかと半ばあきらめてもいました。
どんどんエスカレート
そのうちに義父の会社の経営が厳しくなり、給料日やボーナスが近くなると電話がかかってきたり、「話がある」と義両親が訪ねてくることが増えました。
話とは金銭的援助依頼で、夫は断りもせず言われるままに自分たちのお金を切り崩して用意。
私たちの生活は厳しくなる一方でしたが、意を決して夫に相談しても
「今の仕事に就けているのは両親が大学費用を出してくれたから。今のお給料も両親のおかげ。」
と言うのです。
大学は卒業してるけど支払いは……
確かに、大変な思いをして大学費用をねん出し、仕送りしてくれたのだと思います。
しかし、以前夫は、仕送り額がどんどん減らされたので、食事付きのバイトに毎日入ってしのいだ、奨学金の手続きも行ったと話しており、事実、結婚時点でも奨学金の支払いは終わっておらず、まだ完済していませんでした。
奨学金の支払いがあること自体は知っていて結婚したので、それについて私から何か言うということは今まで控えていました。
親が全部支払ったの?
しかし、「親に感謝」と言うばかりの夫に違和感を覚えた私。
ある夜、またも義両親から金銭要求があり、少し口論になりました。
「親のおかげ」を連発する夫に
「親に大学行かせてもらったから感謝してるって言ってるけど、奨学金はまだ払っているよね? 私もあなたの学費を払っていることになるんだけど、親だけのおかげなの? 少しは自分の生活も見て!」
とキレた私。
私の言葉にハッとした夫。
それ以降、私の前で「親のおかげで大学を卒業できた」「この会社に入れたのも親のおかげ」とは言わなくなりました。
親を大切にするのは素晴らしいことですが、我慢すればいいという考えも少しだけ改めてくれるようになりました。その後、義両親の生活の無駄を見直すように働きかけをしてくれた出来事です。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。