親戚の集まりに連れて行かれた姉
姉が小学校低学年のころ、家族と一緒に、親戚の家に遊びに行った時のこと。
みんなでテレビを見ていると、当時流行していた女性アイドルグループの曲が流れてきました。
親族の60代の女性が「これ学校でも流行ってるん?」と姉にたずねました。
姉が「クラスで流行ってるよ」と教えると、女性から「歌ってみてよ〜」とお願いされました。
親戚の前でダンスを披露した娘を小馬鹿にする父親
恥ずかしがり屋の姉は「嫌っ」と断ります。
しかし、周りにいた親戚の大人たちも「Uちゃん(姉)の踊ってるところ見たいわ〜」とはやし立てるように言うので、姉も逃げられないと感じました。
勇気を出してサビの部分をダンス付きで披露。
親戚からは「かわいい〜」と拍手をもらったのですが……。
その時、父親が「お前は歌も踊りも下手やなぁ〜」とバカにして笑ったのです。
父親の言葉で30年近くトラウマに苦しむ
小学生の姉は、父親の言葉に深く傷つきました。
そして「自分は歌が下手」と思い込んだまま大人になります。
音楽の授業で、歌唱テストの日は必ず休み、中高生の時は友人たちからカラオケに誘われても全部断っていました。
しかし30代になり、あることがきっかけでトラウマを克服できたのです。
合唱団との出会いでトラウマから解放される
それは、職場の合唱団に誘われたことでした。
先輩から「人数が足りないから入って!」と何度もお願いされ、渋々入団。
初めてのレッスンで先生から「あなた新人なのにお上手ね!」と褒められたのです。
この瞬間、姉はトラウマから解放されました。
今では、人前で歌うことへの抵抗は全くなくなり、家族や職場の仲間とカラオケを楽しんでいます。
親子の関係は、子どもの自己肯定感の形成に大きな影響を与えます。
親は軽い気持ちで言っているのかもしれませんが、まだ人生経験が少ない子どもは軽く受け流すことができません。
子どもへの声かけには、優しさと配慮が必要かもしれませんね。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2020年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:広田あや子
教育関係のキャリアを経て、ライターに転身。実体験に基づく記事は、「真実は小説より奇なり」を痛感し、体験者へのヒアリングを通じての執筆に特化。プレママ・ママを対象としたサイトを中心に執筆し、特に義実家トラブルネタを得意とする。