自転車を持たない息子の奮闘
私には小学5年生の息子がいます。放課後はいつも近所のお友だちと遊んでいます。小学校低学年のときは、みんな走って公園に集合し、遊んでいました。でも高学年になると、自転車に乗る子どもが増えてきたのです。
そんな様子を見ていましたが、息子はとくに自転車を欲しがることはありませんでした。自転車で友だちが遊びに来ると、息子はダッシュで追いかけていく毎日。
私は自転車を買ってあげたいと思っていましたが、子どもの自転車とはいえ、なかなかの値段。すぐに「はいどうぞ」と買ってあげられる家計でもなく、息子に申し訳ない気持ちでいました。
「胸が痛い!」急いで病院に行ってみると
その日も、放課後家に帰ってくるなりロケットのように走って飛び出していく息子。しばらくして家に帰ってくると、「胸が痛い」と言うのです。転んだりぶつけた様子もなく、心配になった私はすぐに病院へ連れていきました。事情を話すと、医師の先生は笑って「走り過ぎだね」と言いました。
お友だちの自転車についていこうと必死に走っていたあまり、急に胸が痛くなったのかもしれないとのことでした。その後は胸を痛がることもなく、大事に至らなかったことに安心しました。
おばあちゃんからの思いがけないプレゼント
ある日、私の母の家に遊びに行きました。「息子が自転車に負けじと走り回っていて胸が痛くなった」と話をしたら、母は「そんなに走ってたの! おばあちゃんが買ってあげるのに」と笑っていました。
そして次の休みの日に、私と息子と母で自転車屋さんに行き、息子は悩んだ末に自転車を選びました。ギアが付いたかっこいい自転車です。「おばあちゃんありがとね!」とこぼれ落ちんばかりの笑顔に、こちらまでうれしくなりました。
息子は新しい自転車に乗って、今日も駆け回っています。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。