同居中の孫の友人Tくん
50代のHさんは、長男一家と同居しています。
孫のRくんが小学校4年生だったころのこと。
毎日のように、放課後は仲良しのTくんを自宅に呼んで遊んでいました。
毎朝Tくんに「頑張って!」と声かけ→母親が登場し……
6年生になると、RくんとTくんは別のクラスに。
2人とも中学受験で忙しく、放課後に遊ぶ時間もありません。
子ども同士は疎遠になっていましたが、HさんにとってTくんも孫同然のかわいい子です。
Tくんは毎朝、Hさんの自宅の前を通って小学校へ通っていました。
そこでHさんは「おはよう! 今日も頑張ってね!」と元気に声をかけていたのですが……。
ある日、突然Tくんのママが自宅にきて「実は」と意味深な顔で話しはじめました。
Hさんの声かけで、Tくんは苦しんでいた
「息子は鬱なんです」
Tくんママの発言に、Hさんはびっくりしすぎて声も出ませんでした。
なんと半年前に、夫が急死。
それからTくんは塞ぎ込むようになり、鬱のような状態が続いていたとのこと。
そして先日、児童精神科で『軽度の鬱症状が見られる』と診断されたのです。
このとき、先生との会話の中で「毎朝Rくんのおばあちゃんから『頑張って』と言われるのがキツかった」とポロっと話してくれたとのこと。
Tくんママは、申し訳なさそうに「しばらくは声をかけずにそっとしておいてください」とお願いしてきたのです。
コミュニケーションの難しさを痛感
Hさんも事情を知らなかったとはいえ、もっとTくんの様子を観察してあげれば良かったと反省。
そしてTくんに、つらい思いをさせたことを謝りました。
今は、登下校時は余計な声かけはせずそっと見守るようにしています。
私たちの行動や言葉が、思わぬ形で相手に影響を与えることもあります。
相手の立場に配慮したコミュニケーションをとることの大切さと、難しさを痛感するお話でした。
【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2024年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:広田あや子
教育関係のキャリアを経て、ライターに転身。実体験に基づく記事は、「真実は小説より奇なり」を痛感し、体験者へのヒアリングを通じての執筆に特化。プレママ・ママを対象としたサイトを中心に執筆し、特に義実家トラブルネタを得意とする。