マウンティングが絶えない姑との日々
私は、ごく一般的な家庭で育ちました。
裕福ではなかったものの、笑いの絶えない温かい家族に恵まれていました。
しかし、夫の実家は違いました。
自営業で成功を収め、経済的にも非常に豊かな暮らしをしている家です。
特に姑は、私の実家との経済的格差を、何かと嫌味たっぷりに指摘する人でした。
ある日、「自分の家がない人なんてこの世に本当にいるのねぇ」と、市営団地に住む私の実家を皮肉るように言ったのです。
それが姑のマウンティングの始まりでした。
その後も、私の両親が送ってくれるお中元やお歳暮を見ては「こんな安い物を嫁ぎ先に送るなんて……」とこぼし、私たち夫婦が普段食べている質素な食事に対しては「さすが貧乏人は節約が上手ねぇ」と嫌味を重ねてきました。
嫌がらせのような食卓
特に義実家での食事の時間は、姑のマウンティングが最高潮に達する場面でした。
高級食材や珍味を目の前に並べ、「これ、食べたことある?」「食べ方はわかるの?」と、露骨な嫌味を口にします。
舅や夫がいるときは、表面上はおとなしいのですが、私と2人きりになるとその嫌味は容赦なく、心に刺さりました。
実家を蔑まれるたびに、私は悔しさとやるせなさが胸を締め付けて苦しくなっていったのです。
食卓に並んだ豪華料理
そんなある日、姑から「夕飯をごちそうするわ」と急な連絡が入りました。
嫌な予感はしましたが、義実家へ向かうと、予感は的中。
食卓には、豪華な料理がずらりと並び、あたかも「見たことないでしょ?」とでも言いたげに、私を待ち受けていたのです。
夫が「今日はごちそうだね♡」と笑顔で楽しむ中、姑がいきなり口を開きました。
「これはフォアグラよ。貧乏人にはわからない味かしらねぇ?」
その瞬間、場の空気が一変しました。
いつもは舅や夫がいる場では控えめな姑が、なぜかこの日は露骨にマウントを取ってきたのです。
姑の失態と予想外の逆転劇
所狭しと並べられた料理に舅が箸をのばし、一口食べた瞬間、「お?何だこれ! 」と顔をしかめました。
「何だか変な味がするぞ? 腐ってるんじゃないのか?」と怒りを露わにしました。
実は姑、豪華な料理を見せつけることに夢中になり、料理の味見を一切せずに出していたのです。
舅が料理のパックを確認すると、なんと消費期限が過ぎていることがわかりました。
この出来事に舅は激怒。
「S子ちゃん(私)に嫌がらせをする暇があったら、まともな料理を出せ!」と、席を立ってしまいました。
夫も「味見くらいはしないとねぇ……」と、あきれ顔を隠しません。
普段はマウントを取ることで優越感に浸っていた姑が、この日ばかりは、自分の軽率な行動で逆に家族から非難を浴びる羽目になりました。
それからの関係
この一件以来、姑が私に対してマウントを取ってくることはなくなりましたが、私の中に姑への良い印象はありません。
関係を修復する気も起きず、今では適度な距離を保ち、必要な時だけ付き合うようにしています。
【体験者:40代女性・会社員、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。