確執
私は息子が小学生の時に再婚。
夫と息子は最初こそうまくいっていたのですが、時間が経つにつれて確執が生まれてしまいました。
自分が厳しく育てられた夫は、息子に対しても同じような態度を取り、そんな夫にどうしても馴染めなかった息子は「家を出たい。」と言うようになっていきました。
専門学校進学と同時に独立したのですが、いろいろあって専門学校を中退し、一旦は家に戻ってきたものの、1年もしないうちに「結婚したい人がいるんだけど。」と言い出したのです。
猛反対
私は猛反対しました。
働きだしたとはいえ、社会人になってまだ日が浅いこと、相手の女性に子どもが3人もいること、などを理由に結婚を考え直すように話したのですが、息子はこれに反発。
早く独立したいという息子の気持ちもわからなくもなかったのですが、将来のことを考えると、どうしても賛成はできませんでした。
しかし、息子は私の話もろくに聞かず、家出同然に相手の女性の家に転がり込んでしまったのです。
音信不通
それからというもの、息子とは音信不通の状態が続きました。
電話やLINEを入れても、返信はなく、生きているのかすらわからない状態。
相手の女性の家の場所もわからず、私はどうして良いのかわからなくなりました。
誕生
そんなある日、突然LINEに息子からメッセージと写真が送られてきました。
それは生まれたばかりの子どもを抱いた息子の写真。
『もうおばあちゃんだよ。K(孫の名前)って名づけました。』というメッセージもあり、久しぶりに見た息子の顔に、涙が止まりませんでした。
愛おしそうに子どもを抱く息子の顔を見て、私はへそを曲げていた自分が恥ずかしくなりました。
息子は息子なりに一生懸命生きようとしていて、自分が感じた父親への不信感を与えないように、奥さんの連れ子ともきちんと向き合おうとしているようでした。
それがわかった時、私は息子への干渉をやめて、コンタクトを待てるようになったのです。
現在
今でも、息子は夫と顔を合わせるのを嫌がっているので、家に帰ってくることはありません。
それでも、私は息子の価値観を認めてあげようと思えるようになり、たまにLINE で連絡を取る程度にとどめています。
孫になかなか会えないのは寂しいですが、息子が幸せならそれで良いんだと言い聞かせています。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。