多くの人が定年退職するまで仕事するのではないでしょうか? でも、仕事一筋の人生を後悔することも……。今回は、筆者の知人から聞いた、悲しいお話をどうぞ。
新婚生活
これは、どれだけ時が経とうとも、後悔していることです。
私は20歳になってすぐに夫と結婚しました。
元々学生時代から交際していた私たち。
でも、新婚生活は想像よりもはるかにワクワクしたものではありませんでした。
「今日も貧乏飯だよ」
「そろそろ飽きたけれど仕方ないか」
お互いにあまり裕福ではない家庭で育ってきた私たち。
そのため学校を卒業してすぐに働きだしたのですが、自分たちより幼い弟妹がいたため、互いに実家に仕送りをしていたのです。
それもあってか、なかなかお金は思うように貯まらず。
あまり贅沢な生活はできないでいました。
2人の夢
それでも『退職後に2人で海外旅行に行こう』と夢見て、とにかくがむしゃらに働いてきたのです。
私も夫も海外に行ったことは一度もなく、交際時から『お金が貯まったらどの国に行きたいか』とよく話していました。
それから月日は流れ、互いに還暦を迎えて退職。
仕事柄すれ違い生活で、なかなか夫婦の時間も取れていなかった私たち。
「これからは幸せな余生を2人で過ごそう」
「奮発して世界一周旅行もしよう」
だなんて話していたのですが……。
夫の死
「なんで!?」
「まだ早すぎる……」
なんと、退職後夫が末期がんを患っていることが発覚。
治療もむなしく、発覚から3か月で亡くなってしまったのです。
ようやく夫婦の時間を謳歌できると思っていた私は意気消沈してしまいました。
後悔
せっかく働いてお金はいっぱい貯まっているものの、1人ではどう使っていいか分かりません。
『こんなことになるなら、仕事仲間に無理を言ってでも若いうちから夫との時間を大切にしていればよかった』と思わざるを得ません。
忙しい日々に追われてつい忘れてしまっていた、大切な人と過ごすかけがえのない大切な時間。
今となってはもう取り戻せないその日々に、悔しさが募るばかりです。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。