マウンティング
私の息子は中学・高校とテニス部に所属していました。
中学時代に大会で良い成績を収めていたため、高校は私立のA高校に推薦入学。
できれば公立へ進学して欲しかったのですが、息子が「どうしてもA高校で頑張りたい!」と言うので、私たち夫婦も応援することにしました。
A高校のテニス部は県内でも有数の強豪校でした。
比較的裕福な家庭が多く、ラケットやシューズ、ユニフォームなどは高価な物を買い与えていて、我が家のような一般家庭は何かとマウントを取られる状態。
特に地元の資産家でもあるHさんは、お金に物を言わせて、他の保護者をバカにするようなマウンティングが目立つ人でした。
「できないの?」
ある年の夏、関東大会を突破した息子たちは、地方で行われる全国大会に出場することになりました。
すると、さっそく遠征費を追加で払って欲しいというお知らせが……。
このタイミングで大騒ぎしたのはHさんでした。
「みんなで応援に行きましょうよ!」と張り切りだし、子ども達と一緒に大型バスに乗って、同じ宿舎に泊まり、試合の応援に行こうと言い出したのです。
Hさんは専業主婦ですが、他の保護者は仕事を持っている人もいて、仕事を休めないから行けないという人もいました。
そのことを知るとHさんは激怒!
不参加を申し出た私たち保護者に「それぐらいできないの? 一世一代の晴れ舞台なのに!」と文句を言ってきたのです。
これに怒った保護者のOさんが「行きたくないとか行けないとかじゃなくて、仕事が休めないんです。」と言うと「誰か替わりの人をお願いすればいいんじゃない? どうせパートかなんかでしょ?」と暴言を吐く始末でした。
言い合い
これには不参加を申し出ていた他の保護者たちも一気に加勢。
「それはあなたが決めることじゃないでしょ?」
「あなたにそこまで言われる筋合いはないです!」
「何よ、偉そうに!」と大騒ぎになってしまいました。
この様子を見ていた顧問の先生が「これはあくまで任意ですから。強制ではないので、ご都合のつくお時間のある方が参加していただければそれで良いので」と一言。
顧問の先生には頭の上がらないHさんは「ご勝手に!」と捨て台詞を吐いてその場からいなくなってしまいました。
後日談
後日、息子から聞いた話では、参加したのはHさんともう一人の保護者だけだったそうです。
部員達には「親がここまで来なくても……」と言われていたとか。
Hさんの息子は「来なくていいよ! 恥ずかしいなぁ!」と怒っていたそうで、かなり気まずい思いをしていた様子だったそうです。
息子を応援したいという気持ちはわかるのですが、このことがあってから、Hさんは保護者間で浮いてしまい、マウントを取ることもなくなっていきました。
Hさんは子ども達の間でも「ヤバい母親」認定されてしまったようで、以前のような勢いはどこへやら。息子さんの一言が聞いたのかもしれませんね。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。