のびのびと育ってほしいと思いつつも、やっぱり子どもには多かれ少なかれ期待してしまうものですよね。そして期待が裏切られた時には勝手に落胆してしまったりと、親は案外勝手な生き物です。今回は息子の言葉をきっかけに反省したエピソードを友人が聞かせてくれました。

大企業に勤める夫

私は中学生の息子と夫の3人暮らしです。夫は一流大学を卒業後、大企業に就職したエリートで、家族のために毎日忙しく働いてくれています。

その分、家事や子育てはほとんど私がワンオペでこなすことになりますが、「夫は仕事があるし」と疑問を抱くことすらありませんでした。

夫自身も仕事が誇りでありアイデンティティにもなっているのか、大っぴらに言ったりはしませんが、息子にも同じように安定した企業に勤める会社員になってほしいと思っていたようです。

しかし、息子の進路希望は?

ところがある日、三者面談での進路相談を控えた息子に、将来の進路についてどう考えているのか聞いてみたところ、「お父さんみたいに、毎日遅くまで仕事をして、家族と過ごす時間が少ないのは嫌だ! 僕は会社員にはならない。ほどほどに稼いで子どもとの時間も大切にしたい」と、きっぱりと宣言されてしまったのです。

夫、大ショック!

夫は内心、大きなショックを受けたようでした。家族のために頑張って働いているのに、それを否定することを息子から言われたのだから当然と言えば当然ですよね。

もちろん、息子はまだ中学生ですし、現実を知りません。しょせん子どもの言うことではありますが、それでも夫はこの出来事をきっかけに、自分の仕事と家族との関係、時間の使い方について見つめ直すことになりました。

そして数ヵ月後、なんと夫は家族との時間をもっと大切にしようと決心して転職してしまったのです!

家族が変わるきっかけに

その結果、以前よりも家族で過ごす時間は増え、息子との関係も改善されていきました。
私も、ワンオペに慣れすぎて子育てに夫を積極的に関わらせてこなかったことを反省。最近では息子の部活の試合や参観日にも夫婦で行くようにしています。

収入は転職前より減ってしまいましたが、今のほうが幸せに暮らせている気がします。
息子の反抗的な一言が、家族を大きく変えるきっかけになりました。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。