自分が親になって初めてわかる自分の親の気持ち。謝りたくてもお礼を言いたくても、他界してしまったら何もできませんよね。これは筆者と筆者の父親のお話。父親の言った一言の意味が初めて分かったきっかけとは?

病気がちな父

私の父は、私が幼い頃から身体が弱く、肺気腫という病気で50代前半で仕事を辞めなければいけなくなりました。
当時妹はまだ大学生。
店舗型の自営業だったため、店舗と一緒だった自宅も出なければいけなくなり、一家で引っ越すことに。
私は会社勤めを辞めて、当時高給だったトラックの運転手になって、家計を助けることにしました。

父は病状が思わしくなく、入退院を繰り返す状態。
家族4人の生活費、家賃、妹の学費、医療費など、多くの負担がかかることになりましたが、何とか踏ん張っていました。

喧嘩

そんなある日、退院して自宅にいた父が私に「俺が情けなくて申し訳ない。好きに生きろ。お前の人生なんだから」と急に言ってきました。
しかし、当時の私は「そんなこと言ったって、お母さんも働けないし、私が稼ぐしかないじゃない!」と父に言い返して喧嘩になってしまったのです。

当時の私は、自分で決めたことなのに、どうしても親の犠牲になっているような気がして、常に卑屈な感情に支配されていました。
「普通の生活」ができないことに苛立ち、父に反発してしまいました。
あの時の父の悲しそうな顔は、今でも忘れることができません。