ご長寿の方が多い日本で、「介護」は必要不可欠なもの。要介護認定を受けている人は年齢と共に急増していて、80代前半で約3割、85歳以降で約6割にものぼると言われています。
そんな身内の介護を経験した、筆者の知人A子さんから聞いたお話をご紹介します。

辛い介護の日々

A子さんは、同居している姑の介護に追われる日々を過ごしていました。
高校生の息子は常に部屋にこもり、夫は仕事を言い訳に介護は全てA子さん任せだったのです。

姑は認知症を患っていて、何度も部屋を荒らしてしまいます。
さらには家の中だけでなく外へ出て徘徊してしまうので、A子さんは心身共に限界が近づいていました。

もう無理だよ!! 本当に誰か助けて

ある日姑がお昼寝中に、A子さんも思わずウトウトしてしまったのです。
テーブルに突っ伏して寝てしまったのですが、ハッと起きると異臭が。

どうやら姑はリビングで失禁してしまい、そのままあちこち移動してしまっていて……。
その汚れは、部屋中に広がっていたのです。

さらに片付けても片付けても散らかしてしまうので、部屋は荒れ放題。
いつもならすぐお風呂場へ連れていきますが、その日は何かが切れてしまったようでした。
A子さんは涙が溢れてしまい、姑を止めることも出来ずに立ち尽くしてしまったのです。

その瞬間、まさかの息子が帰宅。
悪臭のするリビングで動き回る姑と、泣いているA子さんを見て無言でリビングを出て行きました。

(誰か、助けて……)

すると!!

大きな心境の変化、息子の成長。思わず涙が溢れてしまう(泣)

なんと、息子が戻ってきたのです。
息子はゴミ袋と手袋を持っていて、姑に話しかけました。

「ばあちゃん、風呂行こ」

息子は今まで一度もそんなことをしたことがありません。
驚いて涙も止まりましたが、なんとか一緒にお風呂に入れて、着替えさせることが出来ました。

その後、息子にコーヒーを淹れてお礼を言いました。
すると、息子は自分の思いをポツリポツリと話してくれたのです。