新入社員や後輩を指導するのって結構大変ですよね。パワハラだと思われないように気を遣ってしまうという人もいるのではないでしょうか。今回はちょっと変わった新入社員の指導に悩んだ経験のある筆者の知人、Aさんから聞いたお話です。
久しぶりの新入社員
Aさんは当時、建築系の会社で経理の仕事をしていました。
ある年、経理部に数年ぶりに新入社員が入って来ると聞かされたAさん。今まで不況のため新卒採用をしていなかったのですが、社長の友人の息子が、縁故採用で入社することになったというのです。
「一番年が近いのがAさんだから、指導よろしくね」
「は、はあ……」
年が近いといっても、Aさんは中途採用なので新卒の社員とは10歳以上も離れています。しかし社長からじきじきに頼まれてしまったため、断ることはできません。
「〇〇です、よろしくお願いします」
Aさんの後輩として入って来た新入社員は、とてもおとなしそうな雰囲気の男性でした。
集中力に欠ける新人
「〇〇くん、これお願いね」
「はあ……」
Aさんは社長に頼まれたということもあり、新入社員に熱心に仕事を教えました。しかし彼はやる気があるのかないのかわからない様子。
それでも少しずつ仕事を覚え、きちんとこなしているので、Aさんは「そのうちやる気を出してくれるといいな」と思いながら指導を続けていました。
しかし、Aさんには彼の態度で気になることがひとつありました。
というのも、昼間は仕事に集中している様子なのに、終業時刻が近くになると急に集中力に欠け、チラチラと時計ばかり見ているのです。
そして定時になると、仕事が残っていてもダッシュで帰ってしまいます。
「きっと早く帰りたいのね」
気持ちはわからなくもないと思っていたAさんでしたが、ある日彼が集中力を欠いていたせいで、終業間近に、大きなミスが発覚しました。
「〇〇くん、悪いけど残業して!」
「はあ」
彼のミスをカバーするため、Aさんも一緒に残業をすることになってしまいました。