結婚式のビデオ
Cさんは結婚式や運動会などのビデオを撮影・編集する仕事をしています。
Cさんの編集はとても評判が良く、子育てをしながら勤めていた会社を独立して、自分で仕事を受注するようになったばかりのことでした。
「ねえ、お願い! お礼はちゃんとするから!」
ある日Cさんは子どもの小学校のママ友のひとりに、ママ友の妹の結婚式で流すビデオの編集を頼まれました。
それはママ友の妹の友人たちや妹の旦那さんの友人たちのお祝いコメントを撮った映像を編集するというもの。
「お祝いコメントの映像はコレね、良い感じにお願い!」
データを渡され、Cさんは腕をふるって素敵な映像を作りました。
お礼はなんと……
「ありがとう! すっごく良かったわ、みんな感動してたし。じゃあこれ、お礼ね」
なんと、手渡されたお礼はバームクーヘン1つ。
「え、これって」
「引き出物だけど、美味しいバームクーヘンだよ!」
友達とはいえ、プロの仕事なのでお礼はちゃんともらいたいと伝えると、ママ友は「友達なのにセコイこと言わないでよ!」と答えて帰って行きました。
他のママ友に聞いてみると、そのママ友は「友達」を良いことに美容師のママ友にタダでヘアセットをさせたり、ネイリストのママ友にタダでネイルをさせたりすることで有名な人だというのです。
「結構時間かかったし、やっぱりお金もらおう」
Cさんが請求書を持ってママ友の家に行くと、ママ友は出かけていて家におらず、旦那さんが出てきました。
「あの、うちの妻が何か?」
「すみません、実は……」
旦那さんに事情を話し、一応友達なので少し割引をしたけれど費用を請求しました。
「わざわざすみません、あれだけの映像をバームクーヘンひとつでやってもらおうとしたなんて 」
旦那さんは驚きつつも、その場できちんと支払ってくれました。
その後ママ友から電話があり、「友達なのに!」と大騒ぎしたため、Cさんはそのママ友とは距離をおくようになったそうです。
初めにきちんと金額などを伝えなかったのも悪かったとは思いましたが、友達だからタダにするのではなく、友達だからこそ、プロの技術であることを理解して欲しいものですね。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子