有名な観光地では、あまりに観光客が多く来すぎると、近隣住人がゴミや騒音などに悩まされることがあるといいます。今回は観光地に住んでいたがゆえに、とんでもない迷惑を被ってしまった経験のある筆者の知人、Fさんから聞いたお話です。

有名な観光スポット

アニメや映画の舞台となった場所をめぐることを最近では「聖地巡礼」と呼ぶようですが、Fさんの家はまさにその聖地のすぐ近くにありました。

「今日もすごい人ね……」
大型連休や夏休み期間にはそのスポットに多くの人が訪れ、皆登場人物と同じポーズで写真を撮るなどしてはしゃぐ声がFさんの自宅にも聞こえていました。

聖地として有名になる前は観光客もまばらで、どちらかといえば年配の夫婦などが好んで来るようなスポットでしたが、今はうってかわって若い観光客や外国人ばかり。

町おこしのために、そのスポット付近には多くの飲食店や地元の名物を売る屋台がずらりと並んでいました。

庭に設置したベンチに……

Fさんは当時ガーデニングを趣味としており、ご主人も家庭菜園に興味があったために、広い庭がある現在の家を購入したのでした。

「ねえ、庭にベンチを置いてもいい?」
「ああ、いいよ」
Fさんは美しく仕上げた庭にぴったりの木製ベンチを購入し、庭に設置しました。

庭の手入れの合間にそのベンチに腰掛け、ゆったりとお茶を飲みながら庭を眺めるのもFさんの楽しみになりました。

そんなある日、いつものように庭の手入れをしようと準備をしていたFさんは、庭から何者かの声がするのに気づいて窓から外を覗きました。
「え、誰!?」
なんと、Fさんの大事なベンチに見知らぬ若いカップルが腰かけて、屋台で買ったらしい食べ物を頬張っているのです。