親と離れて暮らしていると、つい連絡がおろそかになってしまうこともありますよね。めったに連絡をよこさない子どもから珍しく連絡が来れば、たとえそれがどんな内容でも力になろうとするのが親心というもの。今回はそんな親心が原因で、思わぬトラブルに巻き込まれそうだったのを寸前で救った経験のある私の知人、Oさんのお話です。

久しぶりの帰省

Oさんは当時、就職活動中の大学生でした。

大学が実家から離れていたので下宿をして暮らしていましたが、学業やバイトで忙しいうえに就職活動も始まったため、なかなか帰省できずにいました。

そんなある日、たまたま就職試験を受けるはずの会社が実家の近くにあったため、Oさんは両親を驚かせようと黙って帰省することに。

「ただいまー!」
その時間は家にいるであろう母親を驚かせようと、Oさんはわざと大きな声を出して玄関のドアを開けました。

しかし、まったく反応がありません。
「あれ、いないのかな……」
靴を脱いで玄関に上がり、リビングに行ったOさんは、母親が誰かと電話をしているのを発見しました。
「あんたそんな大変なことを……」
誰と電話しているのか、母親は深刻そうな声で電話の相手に話しかけています。仕方なくOさんは受話器を握りしめる母親の視界に入るよう、前に回ってみることにしました。
「ひ……ひぃっ!!!」