子どものイジメは、ちょっとしたことが原因になります。ただ、それが本人に責任のない原因の場合、あなたなら親としてどう対応しますか? これは筆者の友人・M夫妻から聞いた息子のイジメ問題に真っ向から立ち向かったエピソードです。
トラブル
私の家はごく一般的な家庭です。
子どもが3人いるため、教育費の足しになればと私もパートで働いています。
長男のRは、中学時代に陸上競技で優秀な成績を残していたため、高校は私立の学校へ推薦入学をしました。
しかしRは入学後、なぜか「学校へ行きたくない」「部活を休みたい」などと言うようになったのです。
私が理由を聞いてもRは何も言いません。
落ち込んだ様子を見かねた夫が、Rと話をすることになりました。
イジメの原因
夫はRと向き合うと、静かな口調でこう言いました。
「あんなに行きたかった学校に行きたくないっていうのには、何か理由があるんだろ? 行きたくない理由によっては、親が動かなければいけないこともある。これからのことを考えても、なぜそんな風に思っているのか、きちんと話をしなさい。」
Rは初めこそ黙っていたものの、真剣な夫の様子にほだされて、話始めました。
「金がないのに私立に来たって言われるんだよ。貧乏だから俺はイジメられてるんだ……」
話を聞くと、どうやらRの周りは裕福な家庭の子が多く、節約をしているRをバカにし、仲間外れにしていると言うのです。
夫が「うちは別に貧乏じゃない。でもお金を湯水のごとく使えるほど裕福でもない。ただし、それはお前が悪いんじゃないだろ? 胸張って学校へ行きなさい。後のことは、お父さんたちで考えるから。」と言うと、Rは胸のつかえがとれたように、泣き出しました。
学校へ
夫は私にも詳しい話はしませんでしたが、「明日の朝、学校へ行くぞ。」とだけ言われました。
次の日、Rが登校した後すぐに夫と私は学校へ行きました。
朝の登校時間にいきなり学校へ来た保護者……かなり目立っていましたし、顔見知りの生徒には挨拶もされました。
しかしこれが夫の考えた策略だったのです。