とある女性の訪問
そんなある日、ある女性がFさんの元を訪れました。
「ちょっとFさん、顔色が真っ青じゃない。一体どうしたの、そんなにやつれて!」
その女性は疲れ果てたFさんの身体を気遣い、溜まっていた家事を片付けて、子どもの面倒も見てくれました。
「これからのことは私に任せて。あなたは少し休みなさい!」
そう言ってFさんを励まし、女性は帰っていきました。
数日後、Fさんは身の回りのものをまとめ、子どもを連れて「ある場所」へと引っ越しを決行しました。
引っ越した先には……
「おい、お前ら今どこにいるんだよ? 家が空っぽじゃないか!」
「……私たちが今どこにいるか、来ればわかるわよ」
Fさんが伝えた住所に夫が血相を変えて乗り込んでくると、そこには見慣れた光景が広がっていました。
そう、Fさんに手を差し伸べた「ある女性」の正体は、夫の実母……お義母さんだったのです。
Fさんはお義母さんの力を借りて、子どもと一緒に旦那さんの実家に引っ越していたのです。
「あたしが引っ越しておいでって言ったんだよ。 どっかのバカ息子が家を空けて遊び歩いてるって聞いたからね!」
旦那さんのお母さんは、女手ひとつで旦那さんを育て上げた苦労人。自分と同じ苦労をさせないよう、Fさんに協力してくれたのです。
目に入れても痛くないほど孫を可愛がっているお義母さんは、かなり激しく夫を叱責。
「フラフラ遊んでばかりいるんじゃないよ! この子はあんたの子でしょ!」
「母親にしか見えない? 鏡を見てから言いなさい、この親不孝者が!」
お義母さんはかなり厳しい人なので、旦那さんは大人になった今でも頭が上がりません。
「わ、わかったよ……母さん、もうやめてくれ。F、本当にすまなかった!」
それ以来、夫の夜遊びや外泊はピタリと止まりました。今では仕事が終わると真っ直ぐ帰宅し、子どもの面倒も見るようになったそうです。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子