夜行バスで帰省
Tさんは当時、実家から遠く離れたところで働いていました。
帰省する時はいつも新幹線を利用するのですが、交通費がかさむのが悩み。
そんなある日Tさんは友人から「夜行バスなら寝てる間に着くし、安いよ」と聞き、次の帰省は夜行バスを利用することにしました。
そしていよいよやってきた長期休暇。Tさんは予約していた夜行バスに乗り込みました。長期休暇のせいか、バスはすでに満席になっています。
「結構混んでるんだな……」
Tさんは荷物棚にバッグを置いて、これから長時間過ごすことになるバスのシートに体を沈めました。
うるさい迷惑客
「なんかうるさいな……」
少しウトウトしていたTさんは、前の方の席で誰かが騒いでいる声で目を覚ましました。
「でさー、俺があいつにビシッと言ってやったわけよ」
「え、すげーじゃん!」
大声で話していたのは、どうやら酔っぱらいらしい若い2人組の男性。
「お客さんもいるんで、ちょっと静かにしてもらえませんか」
「わかったようるせえなー」
男性たちは運転手さんに注意されても、全く聞く耳を持ちません。
他の乗客たちも迷惑そうな表情を浮かべていますが、もめ事を起こすことを恐れて誰も直接注意はできませんでした。
思わぬ天罰
「さあ、そろそろ寝るか」
男性がそう言ったのに乗客全員がホッとしたのもつかの間。男性2人組はまた迷惑行為を始めました。
「ちょっとシート、倒しすぎじゃない……?」
なんと男性2人のうちの1人が、後ろの人に声も掛けないまま、急にリクライニングシートを思い切り倒し、ほぼ仰向け状態で寝はじめたのです。
そのおかげで後ろの席のおとなしそうな男性は、驚いて飲み物をこぼしてしまいました。しかも、全く身動きのとれない状態に。
「なんか嫌だな……」
とTさんが思った瞬間、バスが落下物を踏んだのか、大きく上下に揺れました。
「いってええええ!!!」
バン、という音と共に、2人組の男性のうちのひとりが大声をあげました。