これは私の友人が以前働いていた職場に現れた、非常識な女性のお話です。新居を探す客のふりをして、何度も不動産屋に物件を案内させる女の思惑とは……?
毎週、買い物帰りに新居探しをする女性
以前、とある不動産屋で勤務していた時のことです。
私が働いていたのは、賃貸の住居を探しているお客様にお部屋を紹介するお店。特に土日祝には多くのお客様が訪問し、お部屋の内見や契約の手続きで大忙しでした。
とある時期から、毎週土曜日にAという年配の女性が、新居探しに来るようになりました。
気に入ったお部屋が見つかるまで何度も不動産屋に通い、いろいろな物件を内見するお客様は珍しくありません。
そのためAに対しても、最初は普通に接客していたのですが、次第に不自然な点が目につくようになりました。
まず、Aはうちの店に来る前に必ずスーパーで大量に買い物をして、たくさんの買い物袋を持って来店するのです。
それから「〇〇町2丁目にしか住みたくないの!」というふうに、かなり狭い範囲の物件しか内見しません。そして紹介した物件に内見には行くものの、何かと理由をつけて「もっと他の部屋を紹介して」と言ってきます。
さらには内見が終わった後は、毎回「私はここでいいわ。」と現地解散。ちなみにその地域は駅から遠く、バスも1時間に1本程度しか通らない住宅街です。
そんなことが何回も続きました。とても新居を探しているとは思えないAの言動に、私たちスタッフは疑問を感じていました。
そしてついに、Aの正体が暴かれる決定的な出来事が起こったのです。