お菓子作りが好きな人は、自分で作ったものを職場などの周りの人に配る機会もあるのではないでしょうか。今回は手作りケーキが原因でとある人の裏の顔が見え、ゾッとした経験のある私の知人Tさんに聞いたお話です。
お菓子作りが楽しみ
Tさんは当時商社で事務の仕事をしていました。
同僚は同年代が多くて皆仲が良く、いつも昼休みは一緒にお昼ご飯を食べるなど和気あいあいとした環境。
お菓子作りが趣味のTさんは休みの日に腕をふるってお菓子を作り、それを会社の同僚たちとお昼ごはんのデザートとして食べるのを楽しみにしていました。
「ほんと、Tちゃんのお菓子はいつもおいしい! 」
「どれどれ、俺にもひとつちょうだい」
Tさんのお菓子の評判は社内に知れ渡り、普段はあまり関わりのない他部署の営業マンも食べにくるほど。
「いいですよ、1個だけね!」
皆がおいしいおいしいと食べてくれるのを見るのが、Tさんには何よりの楽しみでした。
ケーキがない!
その日Tさんはいつものように、昼休みに同僚と食べるためにカップケーキを何個も焼いて会社に持って行きました。
傷まないように、出勤してすぐに涼しい給湯室にケーキを置いておきました。昼休みに取りに行ったTさんは思わず声を上げました。
「あれ、ケーキがない!」
置いておいたはずのケーキの箱が、影も形もなくなっているのです。
「確かにここに置いたはずなのに……」
「私もお昼前に見たよ! 誰か間違えて食べちゃったのかな」
「名前を書いたメモを貼ったのに、誰が食べちゃったんだろう」
同僚たちと首をひねり、せめて誰が食べたのか知りたいと思ったTさんはそっと社内を見て回ることにしました。
「全部食べちゃったとしても、せめて箱くらいは残ってるはず」