世の中には見えないはずのものが見えたり、聞こえないはずの音が聞こえたりする人がいます。周りの人はわからないことが多く、軽視してしまいがちですが……。これは筆者の友人・F絵から聞いたちょっと驚いてしまうエピソードです。※このお話には、津波に関する話が出てきます。

息子

私の息子・R太が小学生だった頃のお話です。
R太は小さい頃からちょっと変わったところがあり、とても繊細な子供でした。

私には見えるはずのないものが見えたり、周りには聞こえない音が聞こえたりすることが頻繁にありました。急に部屋の隅っこで天井を見ながら誰かと話していたり、道を歩いていて「そっちには行きたくない」と言い出したり……。
亡くなった祖母が「今お部屋に帰ってきてる」と言ったこともあり、何か特殊な感覚があるのだろうと思っていました。

ただR太が怖がったり怯えたりしている様子はなかったので、私は黙って見守ることにしていたのです。

「あれ、何の音?」

R太が小学2年生の頃、朝から「あれ、何の音?」としきりに聞いてきました。
耳をすませても私には何も聞こえません。しかしR太は珍しく取り乱していて「怖い!」「どうしよう……」と耳を押さえて泣き出してしまったのです。

こんなに怖がるのは初めてだと思いながら、とりあえず学校は休ませて家でゆっくりするようにR太に伝えました。