不倫は人を傷つけるだけではなく、自分の貴重な時間を無駄にする行為でもあります。しかし不倫の真っ最中にいる人は、周りのことが全く見えなくなることも。今回は不倫に夢中になっていたけれど、あることがきっかけで目が覚めた経験のある、私の知人Wさんに聞いたお話です。

旅先での一言

ある日、Wさんは医師の彼が地方の学会に出席するというので、ついて行って少し観光をすることになりました。

「ここなら堂々と会えるよね」
普段は外でデートもできないため、知っている人が誰もいない旅先なら、とWさんはウキウキしながら彼と観光を楽しんでいました。

普段は泊まりの旅行などできない彼でしたが、さすがに地方ということもあり、2人は同じホテルの部屋に泊まる予定でした。
「今日は夜も一緒にいられるんだよね! 嬉しいな、初めてのお泊まり!」
Wさんがそう言うと、彼は少し遠い目をしながらこう言ったのでした。
「僕さあ、君にはすぐ手を出したけど、奥さんには結婚するまでずっと手を出せなかったんだ。もちろん泊まりのデートもしたことがないよ。大事にしたい人にはなかなか触れられないもんだね」
その言葉を聞いたWさんは、彼と出会ったその日に結ばれたことを思い出しました。

「私のことは大事じゃないから、すぐに手を出したの?」
「いや、そういう訳じゃないけど……」
マズいことを言ってしまった、と言わんばかりの彼の表情を見て、Wさんは一気に気持ちが冷めていくのを感じました。
「私、帰る!」
Wさんはその場に彼を置いて、そのまま新幹線に乗って自宅へと戻りました。そしてそのまま二度と彼と会うことはありませんでした。

不倫はしょせん不倫。奥さんとは不仲とはいいつつ、やはり彼にとっての一番は奥さん。自分はただの遊び相手に過ぎなかったのだと実感したのだそうです。

思いがけない彼の本音が聞けて良かったですね。不倫相手と結婚するのを待ち続けてただ年齢を重ねるのは、本当に時間の無駄でしかありません。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子