『様子見』という言葉は、さまざまなシーンで利用されます。しかし病気や障がいの場合、本当に『様子見』をして良いのかどうかは、素人ではなかなか判断がつかないものです。筆者の息子が現在も悩んでいる吃音(きつおん)に関するエピソードをご紹介します。
気になる言葉
息子が保育園の頃、保育士さんに「〇〇くん(息子)の言葉が少し気になる」と言われました。
話すときに言葉が出てこない吃音(きつおん)という症状ではないかと言うのです。
吃音とは、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつです。
発話する器官に異常を指摘されたことはありませんでしたが、確かに息子は話し始めるときに言葉がつまって話しにくそうにすることがありました。
息子自身が気にしている様子はありませんでしたが、保育園から市の発達支援センターを紹介され、相談に行くことになりました。
発達支援センター
発達支援センターへ行き、言語聴覚士の先生に息子の様子を診てもらうと
「まだ小さいですし、これから治る可能性もあるので様子を見ましょう。」
と言われ、ホッとしました。
私自身、吃音に対する理解が浅かったこともあり、『様子見』という言葉は『大したことない』とイコールなんだと思ってしまったのです。
吃音外来
1年後、ある病院の吃音外来で診察を行っている言語聴覚士・A先生の講演会に参加することができました。
A先生の言葉でとてもショックを受けたのは
「吃音(きつおん)に関しては『様子見』という言葉は『放置』と同じなんです。」
という一言でした。
確かに1年前と比べて、息子はうまく話せなかったり、苦しそうにしたりする様子が目立つようになっていました……。私はすぐにA先生に直談判し、A先生の勤務する吃音外来で診察を受けることにしたのです。