「これ買って!」と子どもにおねだりをされるのは、親からすれば困るけれど可愛い光景ですね。しかしそれがよく知らない子からのおねだりである場合は、「親はどうした?」と思ってしまうのではないでしょうか。今回はよその子のおねだりに閉口した経験のある私の知人、Yさんに聞いたお話です。
新しくできたショッピングモール
当時Yさんは子どもが同じ小学校に通っているママ友数人と親しくしていて、ランチや買い物にもよく一緒に出掛けていました。
「ねえ、今度新しくできたショッピングモール行かない?」
ママ友のひとりがそう提案したため、Yさんたちは学校が午前中だけで終わる日に、子どもたちを連れて、近所に新しくできたショッピングモールに行くことになりました。
「はじめまして、最近引っ越してきたOです」
集まったママ友のなかに1組、Yさんの知らない顔がありました。それは他のママ友が連れてきた、最近転校してきた子どもとそのママOさんでした。
ママ友の子におねだりされて
「はじめまして、よろしくね」
Oさんの子はかわいらしい女の子で、他の子どもたちとはまだ打ち解けていないのか、子どもたちより大人たちと一緒にいたがります。
「ねえ、おばちゃん、これかわいいね」
皆で入口近くの雑貨屋に入ってぶらぶらと商品を見ていると、Oさんの子が陶器でできた小さな人形を持ってYさんの見せに来ました。
「かわいいね、でも落としたらいけないから戻しておいで」
「えー」
Oさんの子は不服そうな顔で、人形をぐいっとOさんの手に押し付けようとしました。
「ねえ、これ買って♡」
「え……?」
まさかのおねだりに、Yさんは困惑。
「それは自分のママにお願いしてね」
「ふーん、じゃあいい」
Oさんの子は人形を持ったまま、どこかに走り去ってしまいました。