実家をリフォーム
Kさんは当時結婚5年目で、旦那さんとは2人暮らし。
1年前にお舅さんが亡くなったため、1人になってしまったお姑さんを気遣い、旦那さんの実家で同居をすることになりました。
穏やかで無口だったお舅さんにくらべ、お姑さんは派手好きで賑やかな性格。
強引でわがままなところがあるので、正直言えばあまり同居に気が進まなかったKさんですが、旦那さんの頼みならと渋々受け入れたのでした。
「せっかく同居するんだから、この家をリフォームしましょう! 費用は半分ずつでいい?」
お姑さんがそう申し出て、旦那さんもKさんも同意したため、家族でリフォーム計画を立てることに。
「リフォームは亡くなったお父さんの知り合いの業者さんに頼みたいんだけど、構わない? この家を建てる時にもすごくお世話になったのよ」
「はい、もちろん!」
お舅さんの知り合いということで、旦那さんもKさんも異論はありませんでした。
そして間もなくリフォームの工事が始まり、水回りや壁が傷んでいた実家はとてもキレイに生まれ変わりました。
高くついたリフォーム代
「とってもキレイになりましたね!」
「そうよね、やっぱりあの人に頼んで良かったわ。それはそうと、リフォーム代は私が先に払っておいたから近いうちに半分くれる?」
そう言ってお姑さんが提示した金額は、見積もりよりもかなり高い金額でした。
「あれ、ちょっと高くない?」
旦那さんがそう言うと、お姑さんはさっと顔色を変えて怒り出しました。
「あれこれお願いしたんだから当然の金額よ! これでも安い方だと思うけど、何? あんたたち、あの人がぼったくってるとでも言うの! お父さんの恩人に!」
「いや、そんなことはないけどさ……」
あまりの剣幕に、旦那さんもKさんもたじたじになってしまいました。
「文句ばっかり言ってないで、近いうちに払ってよ!」
「わかったよ、母さん」
旦那さんとKさんは首を傾げながら、定期を崩してリフォーム代を払うことに。
「これから引っ越し代もかかるのに」
残高が寂しくなってしまった通帳を見ながら、Kさんはため息をつきました。
工務店の人が来て
リフォーム代を持ってKさんと旦那さんが実家に行くと、玄関にリフォームを請け負ってくれていた工務店の車が停まっていました。
「あ、こんにちは!」
「ちょうどよかった、息子さん。お母さん留守みたいだから、これ渡しといてくれるかい? こないだ領収書を切らしてて、渡せなかったから……」
「ああ、リフォーム代の?」
工務店の人から受け取った領収書を見て、Kさんと旦那さんはびっくり。なんとそこに書いてある金額は見積もり通りの金額だったのです。