幽霊やUFOなど、この世には科学では説明できないようなことが沢山ありますが、それは決して恐ろしいことばかりではありません。今回は筆者が経験した、心があたたまる不思議現象についてお話させてください。
祖父が他界
当時私は長く付き合っていた彼氏(現在の夫)にプロポーズされたばかり。しかしまだ就職したばかりだったため、今すぐ結婚をして良いものかどうか迷っていました。
そんなとき、長い間ガンを患っていた祖父が危篤だという連絡が来たので、私は慌てて実家に帰りました。
「おじいちゃん…… 」
私が実家に着いたときにはすでに意識がなく、家族みんなに見守られながら祖父は息を引き取りました。
通夜の席で
間もなくお通夜が執り行われましたが、宗派の関係で祖父の通夜や葬儀には鮮やかな緑色の「しきみ」という植物のみが飾られることになりました。
普通のお通夜やお葬式では白い菊の花が沢山飾られているのに比べ、祖父の斎場は緑一色。
「お花がないのはちょっとさみしいね」
「ほんとにね」
母と私はしきみばかりがセッティングされた斎場を眺めて言いました。
お通夜が始まると、礼服に身を包んだ私の彼氏が参列しにきてくれました。
「大変だったね、気を落とさないように」
「……うん、来てくれてありがとう」
通夜が終わると、私と彼は通夜振る舞いという、通夜の後の会食に参加して一緒に食事をとりました。
「おじいちゃん、彼氏が来てくれたよ」
祖父の遺影の前で、私はその時初めて彼を祖父に紹介したのでした。