ある雨の日の遅延したバス車内で起きた出来事。一人の乗客が「もっと急いで走れよ!」と大きな声で叫びました。それに対して、運転手がマイクと通して語った言葉とは? これは、私が乗っていたバスで体験したお話です。

運転手の言葉とは……?

運転手は続けます。

「本日はあいにくの雨模様です。乗り降りの介助等に時間がかかりまして、時間を要しました。
そのような事情を汲んで下さるとありがたく思います。
すべてのお客様の安全を期するためにも、法定速度を遵守し、注意をして走行しております。
これ以上スピードを上げると、皆様を安全にお運びする保証ができません。
どうぞご理解のほど、よろしくお願いいたします。」

そういえば、このバス、不快な揺れ方を一切せず、乗り心地が良いのです。
運転手さんの丁寧な運転が成せる業だと、その時、誰もが納得しました。

例の男性は小さな声でブツブツとまだ続けていましたが、
運転手は「これ以上何かありましたら、今は運転に集中しておりますので、会社の方へ直接ご連絡いただければと思います」とキッパリ。
男性は下を向いて、小さくなってしまいました。

運転手の毅然とした態度と、気持ちの良い運転に、誰もがニッコリしました。
理不尽な文句に対して、冷静に賢く対応できる人は素敵ですね。
急いでいる時にバスが遅れるとイライラしてしまう気持ちもわかりますが、思わず考えさせられた出来事でした。

Itnライター:田中つぐみ