筆者の知人T子は、義母が「最期まで家にいたい」と希望したことで、介護を一人で担うことになりました。夫や息子はあまり協力してくれず、途方に暮れていましたが、訪問看護師のひと言で状況が一変することになったのです。

介護を一人で担うことに
家にいたい義母には介護が必要
T子は60代の主婦です。80代の義母E子は足腰が弱り、日常生活で介助が必要になっていました。
ある日、家族で今後について話していると、E子が「私は施設じゃなくて、この家にいたいの」とぽつり。夫のY太は「じゃあ、母さんの希望をかなえてあげよう」と言いました。
しかし、当然のように「昼間は家にいるT子が見てくれるだろ?」と言うY太。T子は思わず黙ってしまいました。後日「私も60代だし、ずっと一人で介護するのは無理よ」と言っても、Y太は「でも母さん、家がいいって言ってるから」と繰り返すばかりでした。
いつまでこの生活が続くのだろう
T子は朝食を作り、着替えを手伝い、薬の確認。トイレの介助をして、昼食を準備。買い物から帰ると、またE子から「T子さん、ちょっと来て」と呼ばれる毎日。
夫のY太は仕事から帰ると「今日もありがとう」と言うだけ。息子のD地も「おばあちゃんは家にいたいんだもんね」と言って、介護はすべてT子に任せていました。
ある夜、T子は台所で食器を洗いながら、腰を押さえて「私だって、いつまで続けられるか分からないのに」と深いため息をついてしまいました。そんなとき、家に訪問看護師が来ることに。
訪問看護師の言葉に救われる
看護師はE子の体調を確認したあと、T子の様子を見て「T子さん、最近ちゃんと眠れていますか?」と尋ねました。
T子が苦笑いしながら「夜中も呼ばれるので、あまり……」と答えると、看護師は驚いた顔をして「お義母さまが家で過ごしたいという希望と、T子さん一人で介護を続けることは別の話ですよ」と一言。さらに「今の状態なら、訪問介護やデイサービスなどを組み合わせれば、ご自宅で過ごしながらご家族の負担を減らせます」と提案してくれたのです。
その言葉を聞いたT子は、思わず「家にいてもらう方法は、私が全部やることだけじゃないんですね」と目を潤ませ、家族でもう一度きちんと話し合うことを決意しました。
「ひとり介護」からの卒業
週末、T子はY太とD地を集め、家族会議を開きました。
これまでの介護内容を書き出して見せると、D地は「え、これ、全部お母さんがやってたの?」と絶句。Y太も「俺、ここまで大変だとは思ってなかった」と言いました。
後日、訪問看護師やケアマネジャーにも相談し、訪問介護やデイサービスを利用することに。Y太は通院の付き添い、D地は買い物を週末に手伝うことになりました。E子も「家にいられるなら、それでいいよ」と納得し、T子は自身の生活時間を取り戻したのです。
筆者の見解
「家にいたい」という希望をかなえるために、誰か一人が限界まで介護を頑張る必要はありません。介護する側の負担も含めて専門職に相談し、家族で役割分担することが大切です。本人の希望を大切にしながら、介護する人も無理をしない方法を探す、その大切さを実感したエピソードでした。
【体験者:60代、性別:女性、職業:主婦、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


