料理に自信のあった筆者は、義実家で張り切って肉じゃがを作ったものの、義父だけが箸をつけてくれず──。
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料理に自信があった私の張り切り

料理教室に通っていた私は、料理にはちょっとした自信がありました。
義実家に行くたび、義母は美味しい料理を出してくれます。感謝しつつも、どの料理も具が小さく切られているのが、ずっと気になっていました。
ある日、
「肉じゃがはゴロゴロの野菜が絶対おいしい! 今日は私に任せてください!」
と台所に立ちました。義母が
「でもね……」
と何か言いかけましたが、
「こっちのほうが絶対おいしいですよ!」
と、最後まで聞かずに押し切ってしまいました。

義父だけ手をつけない肉じゃが

大きめに切った野菜の肉じゃがが、湯気を立ててテーブルに並びました。
「ぜひ食べてくださいね!」
と満面の笑みの私。義母と夫は「おいしいね」と食べてくれましたが、義父の皿の肉じゃがだけがいつまでも減りません。
「お口に合いませんでしたか?」
と聞くと、
「ありがとう、あとでいただくね」
と穏やかに返されただけ。結局、義父は最後まで肉じゃがに手をつけませんでした。

帰り道に知った本当の理由

気まずい空気の中、義母は
「お義父さんの分まで食べるね」
と、私の肉じゃがを何度もおかわりしてくれました。その気遣いが、かえって胸に刺さりました。
帰り道、夫に理由を尋ねると
「親父、歯が悪くて、小さく切ったものじゃないと食べられないんだよ」
とのこと。義父はそれを人に知られたくなかったし、だから義母も「でもね……」の先を言えなかったのかもしれません。
あの得意げな「ぜひ食べてくださいね!」を思い出して、顔が熱くなりました。

義母に謝ったら返ってきた言葉

後日、義母に
「勝手に張り切って、みなさんの気持ちを考えていませんでした。本当にすみませんでした」
と謝ると、
「そんなこと言わないで。私もはっきり言えなかったのよ。でも、あなたの気持ちはすごく嬉しかったの」
と言ってくれました。
その言葉に、胸のつかえがすっと下りたようでした。この出来事がきっかけで、義母との関係が以前より良くなった気がします。

筆者の見解

自信があるからこそ、相手の話を最後まで聞くべきでした。
「おいしい」の基準は、作る側ではなく、食べる人の中にあるのだと痛感した出来事です。
これからは、料理も人付き合いも、まず相手の様子に気を配ることを大切にしたいと思います。

【体験者:40代、筆者、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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