友人Aの話です。近所に住む孫がかわいく、欲しいものをつい買ってあげていたAでしたが、ある日の夕食時、突然一人でやってきた孫の言葉にハッとして──。

かわいい孫
「これ欲しい」
孫にそう言われると、私はつい財布のひもが緩んでいました。
息子夫婦は徒歩で行き来できる距離に住んでおり、孫が一人で遊びに来ることもあります。
かわいい孫が喜ぶ顔を見るのが楽しみでした。
欲しいものを買ってあげると、孫はうれしそうな顔をします。
「おばあちゃんなら買ってくれる」
そんなふうに思われることにも、どこか喜びを感じていたのです。
突然の訪問
ある日の夕食時、予告もなく孫が一人でやってきました。
「こんな時間にどうしたん?」
驚いて尋ねると、孫はゲームを買ってほしいと親に頼んだものの、買ってもらえなかったと言います。
「買ってくれんけん、そんなんやったらばあちゃんとこに行く」
そう言って家を出て、私のところまで来たというのです。
最初は、親と揉めたときに自分を頼って来てくれたことが少しうれしく感じられました。
しかし「買ってくれんけん」という言葉に、これは頼られているのとは違うと気づいたのです。
私が抜け道に
孫が私を頼って来た理由は「親が買ってくれなくても、おばあちゃんなら買ってくれる」と思ったからでした。
その瞬間、これまでの自分の行動を振り返りました。
孫に喜んでもらいたくて、欲しいと言われれば何でも買ってあげる。
そんなことを繰り返した結果、息子夫婦が買わないと決めたものでも、私に頼めば手に入ると思わせてしまったのです。
私は孫をかわいがっているつもりで、息子夫婦の子育てに“抜け道”を作っていたのだとハッとしました。
体験者の声
その後、私は特にお嫁さんへ「ごめんね」と謝りました。
それからは、孫に何か買ってあげるときには一緒に買い物へ行き、息子夫婦が「いいよ」と認めたものを選ぶようにしています。
お金も節目や行事以外ではなるべく大きな金額を渡さず、渡す場合はお嫁さんがいる前か、お嫁さんを通すことにしました。
孫が喜ぶ顔を見たい気持ちは今も変わりません。
ただ、以前の私は「喜ばせたい」という自分の気持ちを優先しすぎていたのだと思います。
息子夫婦が「買わない」と決めたことには理由があるはずです。
孫をかわいがることと、親の子育てを尊重すること、その両方を大切にしたいと思うようになりました。
【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


