
買い物中、娘がぐずり始めて……
私の知人40代のAさんは、5歳の娘を連れてスーパーへ買い物に行きました。
その日は幼稚園帰りだったこともあり、娘は少し疲れています。店内を歩いていると、「もう帰りたい」「疲れた」とぐずり始めました。
Aさんは周囲を気にしながら、「もう少しだからね。静かにしようね」と娘をなだめます。
ところが、そのとき近くにいた男性客が突然、「親ならちゃんとしつけろ!」と大きな声で怒鳴ったのです。
謝るしかなかったAさん
突然のことで驚いたAさんでしたが、「すみません」と謝りました。
娘が騒いでしまったことはAさん自身も気にしていたため、言い返すこともできません。
「もう行こうね」
そう娘の手を引き、その場を離れようとした、そのときです。
娘が男性のほうを振り返り、じっと顔を見つめました。
そして、心配そうな表情で、「おじさんも疲れてるの?」と尋ねたのです。
娘の言葉に男性は何も言い返してきませんでした。
娘の一言に男性が黙り込んだ
しばらく沈黙したあと、男性は小さな声で、「……そうかもしれないな」と答えました。
そして、「今日は仕事で嫌なことがあって、イライラしていたんだ」と話し始めたのです。
もちろん、仕事で嫌なことがあったからといって、子どもや親に怒鳴っていいわけではありません。
男性もそれは分かっていたのでしょう。
「子どもに当たってしまって、すみませんでした」
そう言って、Aさんに頭を下げたのです。
Aさんは少し驚きながらも、「こちらこそ騒がしくしてしまってすみません」と返しました。
子どもの素直な言葉に、大人が教えられた
帰宅後、Aさんが娘に「どうして『疲れてるの?』って聞いたの?」と尋ねると、
「だって、怒ってたから。疲れてるのかなって思ったの」と答えました。
大人なら、怒鳴られた瞬間に「なんて失礼な人!」と腹を立ててしまうかもしれません。
でも娘は、男性を責めるより先に、「この人も疲れているのかな?」と考えたのです。
体験者の声
もちろん、子どもが騒いでいるときには、親が周囲へ配慮することも大切です。
それでも、相手を一方的に責めるのではなく、「何か事情があるのかもしれない」と考えるだけで、見える景色は変わるのかもしれません。
大人がムキになっているとき、子どもの素直な一言にハッとさせられることって、意外と多いのかもしれませんね。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


