困惑する女性を救ったのは、思いがけない一言でした。

事故で遅延した満員電車
ある日、E那さんが仕事へ向かうため電車に乗っていた時のことです。
事故の影響で電車が遅れており、車内はいつも以上に混雑していました。人と人との距離もほとんどなく、少し体を動かすだけでも周囲の人に触れてしまうような状態でした。
そんな中、E那さんのカバンが近くにいた女性に軽く当たってしまいました。
すぐに、「すみません」と謝ったものの、相手から返事はありません。
E那さんはそのまま気にせず、電車に揺られていました。
なぜか何度も背後から当たられる
ところが、しばらくすると背中に何度か衝撃を感じるようになりました。
最初は満員電車だから仕方がないと思っていたE那さん。
しかし、同じ場所に何度も当たるため、
「もしかして、わざと?」
と感じました。
振り返ろうとしても、身動きが取れません。
どうすることもできず、そのまま耐えていると、突然、後ろにいた、さっきカバンが当たってしまった女性が怒鳴りつけてきました。
「痛いやん! お前のせいやろ!」
E那さんは驚き「え? わたしですか?」と聞くと「あんたしかおらんわ! ぶつかってくんな!!」とさらに怒鳴られたのです。
自分はすでに謝っている。しかも、先ほどから背後から何度も当たってきていたのは相手のほうです。それでも、満員電車の中で言い返すことはできず、ただ困惑していました。
思わぬところから声が上がった
すると、その様子を見ていた後ろの男性が突然、
「それは違うやろ」
と声を上げました。
E那さんも相手の女性も驚いて振り返ります。
男性は、
「さっきからそっちが当たってたやん」「人聞きの悪いこといいなや」
と、落ち着いた口調で話したそうです。
その一言で、それまでピリピリしていた車内の空気が少し変わりました。
相手の女性は何か言い返そうとしたものの、それ以上強く言うことはなくなりました。
E那さんは男性に、
「ありがとうございます」
と小さくお礼を伝えました。
その後、女性は次の駅で降りていきました。
E那さんも、それ以上何かを言うことはせず、無事にそのまま目的の駅で降りることができました。
体験者の声
後になって振り返ると、満員電車では誰もが余裕をなくしてしまうことがあると感じました。
自分も知らないうちに誰かにぶつかってしまうことがある。だからこそ、相手を責める前に「仕方のない接触かもしれない」と考える余裕も必要なのかもしれません。
そして、あの時に声を上げてくれた男性のように、周囲で起きていることを見てくれている人もいる。
逃げ場のない満員電車だからこそ、冷静さと思いやりを忘れたくないと感じた出来事でした。
【体験者:40代女性・会社員、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


